vol.5 決算書を読みこなすには~勘定科目編~

 皆さんが日頃ご覧になる試算表・決算書は、全て「勘定科目」によって構成されています。

 決算書を読みこなせるようになる為には、まずは勘定科目の意味を理解できるようにならなければなりません。

 貸借対照表であれば、現金、預金や建物、車両運搬具、また損益計算書であれば、売上、給料、地代家賃といったような勘定科目を目にする事があると思います。
(製造原価報告書がある会社は、材料費や賃金、外注加工費等があると思います)

 ただし、これらの勘定科目のように、科目名を見るだけで、どのような内容なのかを理解できるものが全てとは限りません。
 当然、勘定科目の名前からして、意味が理解しづらいものや、勘定科目の金額の中身がわからないものも出てくると思います。

 これらの懸念材料に対応できるようになるには、貸借対照表・損益計算書のそれぞれの勘定科目で以下のような対応が必要です。

   貸借対照表の勘定科目については、各科目の合計金額の内訳を把握すること(例:普通預金であれば、どの銀行にいくら預けているかを確認する)が必要です。
その為には、経営者自身が、経理担当者から試算表をもらう時に、貸借対照表の内訳についても同様に報告してもらう事が重要です。

 そして、その上で勘定科目の名称が不明なものについては、経理担当者に確認して下さい。(理解しづらい勘定科目があれば、経理担当者か顧問税理士事務所の担当者に確認するよう心がけましょう)

 次に損益計算書です。ここでは、おおよそ使っている勘定科目について、理解できると思いますが、「どのような経費をどの勘定科目で処理するのか」という社内ルールを経営者と経理担当者の間で確認しておく必要があります。
(例:ガソリン代、従業員の通勤旅費代、税理士・社労士・コンサルティング会社への顧問料、といったような経費が発生した場合に、どの勘定科目で処理するのかを決めておきましょう。ガソリン代であれば、旅費交通費、燃料費、車両費といった勘定科目のいずれかに計上されるケースが多いです)
 同じ性質の経費がバラバラの勘定科目に計上されることの無い様に、勘定科目の計上ルールを決定しておきましょう。

 同じ性質の経費計上ルールを明確にすることで、(1)予算設定が可能、(2)過年度比較、先月度比較等の比較分析が可能になります。

 自社の試算表・決算書に記載されている勘定科目の意味と金額内訳を把握して、自社の経営に役立てて下さい。

vol.4 金融機関担当者の役割

中小企業が、事業を継続して安定させるには、金融機関との円滑な関係が必要不可欠です。

 当然、経営者にとっては、金融機関の担当者が窓口になるわけですから、担当者の力量や経営者との相性が非常に重要になります。
 ですが、ここ最近、非常に残念なことですが、金融機関担当者の動きについてのクレームを、私の耳に数社の経営者の方々からお聞きしました。
 金融機関の担当者の皆様には特に参考にして頂きたい意見なので、あえて掲載します。

(1)追加書類の催促を何度も行なう
 これは、私どもの仕事でも同様ですが、お客様に書類の準備を頼む場合は、どのような理由でどのような書類がいくら必要なのかを一度に明確にさせることが最低条件といえますが、これを一切守らないし、守っていないことに対して何ら悪びれる様子も無いという担当者が実際にいます(残念ですね)。
 どの仕事でもそうですが、何度も相手に催促するのは『自分の仕事の段取りの悪さ』から来るということを自覚しなければなりません。

(2)水掛け論を自ら仕掛ける
 水掛け論とは、「言った」「言わない」の世界の話です。これは、相手に責任をなすりつけているのと一緒です。
 お客様(中小企業の経営者)から依頼を受けているわけですから、『お金を貸してあげている』という妙なプライドを捨てるべきだと思います。

(3)お客様から依頼された納期を守る意識が薄い
 これもよくある話ですが、余裕を持って融資資料を渡して融資希望スケジュールを伝えたとしても、「保証協会が~」「本店の審査部が~」「追加資料が~」といった理由を並べ立ててなかなか融資案件が前に進まないというケースです。
 このようなことを平気で伝える金融機関担当者は、お客様からの希望日程がずれ込むということがお客様の資金繰りにどのような影響を及ぼすことかを考えなければなりません。

(4)お客様ではなく、上司を見て仕事をしている
 これもよくある話です。お客様が期待する動きと上司が期待する動きのギャップが出ていることがよくありますが、上司の目ばかりを気にして、お客様の立場を無視した行動をとってしまうということです。

(5)なぜ、今回の融資が必要なのかを理解できていない
 資金繰り資料や、資金を融資する意図を何度も説明しているにも関わらず、なぜ、その融資制度を必要としているのかが理解できていないというものです。

経験の浅い金融機関担当者によくある話ですが、本当に頼りなく見えてしまいます。

 まだまだ挙げればキリがありませんが、この辺にしておきます。
 今回挙げたような動きを、メインバンクにされてしまうと、中小企業とすれば、たまったものではありません。
 実際には、このようなリスクに備えて、サブバンクとの取引を蜜にしておくことも必要です。

 メインバンクの対応に不満や不備があれば、いつでもメインバンクを交替しても大丈夫な状態にしておく手はずは整えておかなければなりません。
 皆さんの会社では、金融機関との関係は良好ですか?自社でするべき情報開示を積極的に行なった上で、金融機関担当者の動きにも注目して、取引の内容を検討して下さい。

vol.3 自社の必要運転資金の適正額は?

 資金繰りを考えるにあたって、重要なポイントとなるのが、

「自社の運転資金を把握しているかどうか?」
「その運転資金の金額に対して、どのような対策をとっているか?」
の2点ではないかと思います。
 私自身が、数多くの中小企業とお付き合いをさせて頂く中で、
直面するのが、この資金繰りに対する問題です。
 ですが、この問題を紐解いていくと、(1)自社の運転資金を把握していないこと、
(2)それに関連して、銀行から借入する方法を誤っていること、の2点に おおよその問題は絞られます。

 では、それぞれの問題に対して、どのように対処すればいいのでしょうか?

   今回は、運転資金の把握について、述べたいと思います。
運転資金の計算方法は一般的に、売上債権と棚卸資産、そして仕入債務の 3つのバランスによって算出します。

 必要運転資金=売上債権+棚卸資産-仕入債務

 例えば、上記の計算式に基づいて、売上債権、棚卸資産、仕入債務の数字から、
必要運転資金が1,500万円と算出されたとします。
 その場合会社は、運転資金として1,500万円の資金調達が必要となります。
 もし仮に、資金調達をしないのであれば、それだけのお金を、利益により 捻出しなければなりません。(しかも、税金を払った上での数字です)

「勘定あって銭足らず」とは、まさしくこのことです。

これに対して
・売上高が大幅に増えたり、
・売上債権の回収サイトが大幅に伸びたり、
・債務の支払サイトが縮まったりした場合、

 必要運転資金の増加金額が生まれますが、それらの増加金額を増加運転資金と
言います。
増加運転資金以外にも、次のような運転資金があります。

・赤字資金
 店舗を出店する場合や、新規開業を行なうにあたっての、準備期間に発生する
諸経費の関係で、赤字が予想される場合に、黒字転換するまでの必要資金のこと
を言います。

   また、新規開業等のケースではないにも関わらず、純粋に赤字を出たために、
運転資金を確保したい場合でも、この赤字資金に分類されます(但し、このケース
では改善案がない限り、金融機関からの融資を受けられる可能性は低くなります)。

・つなぎ資金
 建設業等のように、受注物件が完成してから売上金の入金があるケースに 必要です。受注物件を工事している段階で、人件費や材料費、外注費などが発生し、
その支払にあたって運転資金が必要になってくるケースの運転資金を指します。
通常、短期での資金調達となります。

・季節資金
 季節変動が激しい商売(ペンション、海の家、スキー場等)で、売上の変動が
季節によって激しい場合に、短期間で調達する資金名目です。

・納税資金
 中間納付や確定申告での納付の際に、調達する資金の名目です。
これも、通常は短期間で返済します。

・賞与資金
 賞与を支給するにあたって、その支給資金を確保する為に、調達する資金の
名目です。通常は短期間で返済します。
 このように、必要運転資金といっても、「なぜ、お金が必要なのか?」 という理由は中小企業各社によって、様々です。

 ですので、「お金が足らなくなったから、借入をしよう!」という単純な動機
ではなく、まずは、自社の必要運転資金がいくらなのか?また、最近の決算書や
試算表をもとに、上記の必要運転資金の金額を算出して、金額がどのような 傾向にあるのかを確認して、金融機関に借入を依頼するようにしましょう。

vol.2 経営者が知っておくべき財務情報

 日頃、経営者の皆様に対して、財務分析資料をもとにお話をさせていただく機会が多いのですが、その際によく聞かれるのが「日頃、どのような所を重点的に見ておいたらいいですか?」という質問です。 それに対して私がオススメしているのは、次のポイントです。

(1)毎日(一週間、半月単位でもOK)のお金の動きを経理担当者から簡易資料にまとめてもらって、報告してもらう。

これは、会社のお金の動き、現在の現金残高を把握する為に行なうものです。

(2)試算表の額と率を見る。

経営者は、売上高や利益金額にとらわれがちですが、同時に率(売上総利益率、売上高営業利益率、売上高経常利益率)という点にも注意を向けて、率が増減する原因をつきとめる。

(3)債権の未回収を確認する。

売掛金や受取手形の残高を随時経営者自身が確認することで、請求漏れや未入金の事実を確認してもらい、債権回収に対する意識を社内で確立させる為です。

(4)借入の残高、毎月返済額を確認する

金融機関と交渉する際、やはり最終決済権限は社長に帰属します。となると、日頃からどのような融資条件の下で借入をしていて、毎月いくらの元金を返済し、現段階でいくらの借入残高があるのかを経営者自身が把握する為です。

(5)向こう1ヶ月間の資金繰り計画を確認する

自社の資金繰り状況が、向こう1ヶ月間でどのように推移するのかを確認することで、金融機関との交渉や、仮に資金ショートが発生する可能性がある場合は、前もって対策を講じることが可能になります。

他にも挙げればキリがありませんが、まずはこの5点について、注力してもらえたらと思います。

 不思議なことですが、経営者自身がこれらの財務面に関心を持つだけで、日頃から資金繰りに対する意識が根付くことになります。

 すると、財務を意識した経営に取り組んでもらえるようになります。財務が全てではありませんが、数字を見ずにただやみくもに営業や商品開発を行なうのではなく、予算や実績数値を意識しながら 経営を行うことで、自然と数字を意識した経営が可能になるのです。

 経営者の方は、上記(1)~(5)を明日から早速実践してみてください。経理担当者の方は、上記(1)~(5)を経営者が理解できるように、資料を整備してあげてください。
 そうすれば、自ずと財務に強い会社にステップアップできます。

vol.1 中小企業の財務部門

 昨日、とある経営者とお話していた時の事ですが、「森岡さんのところは、中小企業の財務面を支援するとのことですが、どういうことをされるのですか?」という質問を受けました。

 それに対する私の回答は以下の通りです。「経営者の方は、おおよそが営業畑の出身者、工場畑の出身者、商品開発畑の出身者方が多数を占めておられます。
 経理畑・財務畑を歩んでこられて経営者になられるというパターンは中小企業では少ないと思うんです。」

「また、中小企業でも経理担当者を置いておられることが多いですが、総務・庶務との兼務をしておられることが多く、実際には経理機能(日々の経理処理と月次試算表の入力業務)で、手一杯になっているケースも多いんです。」

 「でも、実際には中小企業で重要なのは、資金繰りです。何をするにしてもお金が会社にないと、事業は運営できませんから。となると、金融機関と上手に付き合っていかなければなりません。
 金融機関の言いなりになって、借入条件が悪く、会社の資金繰りが圧迫してしまってはいけないと思います。

 ですが、これらの交渉を経理担当者に任せられるかというと、総務や庶務業務との兼務もあり、そこまで決裁権限を持って対応してもらうというのは、現実的には厳しいと思います。
 もちろん、経営者自身がこの業務を担うとしても、中小企業の経営者は営業・商品開発・社内管理等、兼務に兼務を重ねておられるので、財務面に力と時間を注ぎきれないという現状がありますよね。
 また、借入交渉だけでなく、金融機関への信頼度アップ、自社内の目標管理を明確にして経営をより良い方向に導きたいのであれば、予算設定と資金繰り計画にも着手すべきだと思います。
 そして、最終的には会社が目指そうとしている長期ビジョンに対して、財務的な根拠があれば言うこと無しですからね。」

「長くなりましたが、簡単に言うと、M's Factoryが中小企業における財務部門の役割を果たすということですね。そして、経営者には、当社との関与を通じて数字に強くなって欲しいと思っています」と回答させて頂きました。

 上場企業になると、品質管理、法務、財務、企画、研究開発といった部門が独立して存在していますが、中小企業では、営業面と社内管理面しか対応できていないケースが多いと思います。
 だからといって、財務部門としての機能が社内に無ければ、資金調達の面で支障をきたしてしまいます。

 こうして当社のことをご存じない方に対して話をさせて頂くことで改めて、自社の目指すべき方向が明確になってきました。

 今後も、M's Factoryは、中小企業の財務部門としての役割に、特化した商品・サービスの提供を行ないます。