vol.3 自社の必要運転資金の適正額は?

 資金繰りを考えるにあたって、重要なポイントとなるのが、

「自社の運転資金を把握しているかどうか?」
「その運転資金の金額に対して、どのような対策をとっているか?」
の2点ではないかと思います。
 私自身が、数多くの中小企業とお付き合いをさせて頂く中で、
直面するのが、この資金繰りに対する問題です。
 ですが、この問題を紐解いていくと、(1)自社の運転資金を把握していないこと、
(2)それに関連して、銀行から借入する方法を誤っていること、の2点に おおよその問題は絞られます。

 では、それぞれの問題に対して、どのように対処すればいいのでしょうか?

   今回は、運転資金の把握について、述べたいと思います。
運転資金の計算方法は一般的に、売上債権と棚卸資産、そして仕入債務の 3つのバランスによって算出します。

 必要運転資金=売上債権+棚卸資産-仕入債務

 例えば、上記の計算式に基づいて、売上債権、棚卸資産、仕入債務の数字から、
必要運転資金が1,500万円と算出されたとします。
 その場合会社は、運転資金として1,500万円の資金調達が必要となります。
 もし仮に、資金調達をしないのであれば、それだけのお金を、利益により 捻出しなければなりません。(しかも、税金を払った上での数字です)

「勘定あって銭足らず」とは、まさしくこのことです。

これに対して
・売上高が大幅に増えたり、
・売上債権の回収サイトが大幅に伸びたり、
・債務の支払サイトが縮まったりした場合、

 必要運転資金の増加金額が生まれますが、それらの増加金額を増加運転資金と
言います。
増加運転資金以外にも、次のような運転資金があります。

・赤字資金
 店舗を出店する場合や、新規開業を行なうにあたっての、準備期間に発生する
諸経費の関係で、赤字が予想される場合に、黒字転換するまでの必要資金のこと
を言います。

   また、新規開業等のケースではないにも関わらず、純粋に赤字を出たために、
運転資金を確保したい場合でも、この赤字資金に分類されます(但し、このケース
では改善案がない限り、金融機関からの融資を受けられる可能性は低くなります)。

・つなぎ資金
 建設業等のように、受注物件が完成してから売上金の入金があるケースに 必要です。受注物件を工事している段階で、人件費や材料費、外注費などが発生し、
その支払にあたって運転資金が必要になってくるケースの運転資金を指します。
通常、短期での資金調達となります。

・季節資金
 季節変動が激しい商売(ペンション、海の家、スキー場等)で、売上の変動が
季節によって激しい場合に、短期間で調達する資金名目です。

・納税資金
 中間納付や確定申告での納付の際に、調達する資金の名目です。
これも、通常は短期間で返済します。

・賞与資金
 賞与を支給するにあたって、その支給資金を確保する為に、調達する資金の
名目です。通常は短期間で返済します。
 このように、必要運転資金といっても、「なぜ、お金が必要なのか?」 という理由は中小企業各社によって、様々です。

 ですので、「お金が足らなくなったから、借入をしよう!」という単純な動機
ではなく、まずは、自社の必要運転資金がいくらなのか?また、最近の決算書や
試算表をもとに、上記の必要運転資金の金額を算出して、金額がどのような 傾向にあるのかを確認して、金融機関に借入を依頼するようにしましょう。