vol.9 車に関連する経費をどのように取り扱うのか?

 みなさんの会社では、車に関連する経費をどのように処理しておられますか?

ちなみに
・年間の会社全体のガソリン代はいくらかかるのか?
・車一台あたりの年間維持費用はいくらかかるのか?
・車に関する経費が、どの科目を使って処理されているのか、
 経営者自身が把握しているか?

といった質問が来た時に、回答できるようであれば、経営者としては及第点と言えると思います。

 この時点で回答できなかった方、大丈夫です。
今からお伝えするルールを明確にしさえすれば、回答できるようになります。

 中小企業でも、運送業者、物流関係業種をはじめ、多くの会社で営業車両を使っておられることから、車に関する経費は数多く出てくると思います。

(かかってくる経費)
ガソリン代、軽油引取税、洗車代、車検代、自動車税、自動車重量税、修理代、自動車保険、高速代金など

(処理する勘定科目)
車両費、旅費交通費、燃料費、ガソリン代、雑費、租税公課、軽油引取税など

 一般的には、上記の経費を、これらの勘定科目を使って処理しておられることが多いと思います。

 ですが、同時に(1)「どの経費をどの科目で処理するのかが明確になっているか?」
(2)「車両単位で経費を管理していた方が予算や車両別の採算管理の点で役立つのではないか?」
といったような疑問や問題点が出てくると思います。

 そこで、オススメの管理方法をお教えします。
 それは、会計ソフトを使って管理する方法です。

 私自身がオススメなのは、「勘定科目」と「補助科目」を両方使って上手に車両経費を管理する方法です。

(保有しておられる車両台数が少ない場合)
 この手順としては、車両に関する勘定科目を、「車両費」に統一します。
そして次に、補助科目として、上記の「かかってくる経費」で記載した項目を「車両費」の中の補助科目として登録します。
 会社で使っている車両が数台の場合は、この方法で十分です。
(車両ごとに把握したいのであれば、補助科目を車両ごとに作ってもいいと思います)

(保有車両が多い場合)
 この場合は、勘定科目として「どの経費をどの勘定科目を使って処理するのか」を決定します。
 例えば、「ガソリン代は旅費交通費で処理する、車検代は車両費で処理する」といった感じですね。

 次に、勘定科目ごとの補助科目に、車の数だけ補助科目を設定します。  これにより、各勘定科目(経費)で毎月どの車がどれだけの経費を発生させているのかが把握できます。(部門登録ができるソフトであれば、車ごとに部門を設定して管理するのも一つの方法だと思います)

 これにより、車両の保有台数の大小によって、若干の違いはありますが、本来の目的である「どの車両にどれだけの経費がかかっているのか」が資料を見る経営者や幹部にとって明確になります。

 今回は、車両に関する経費について記載しましたが、他の経費についても同様の考え方で、経営者・幹部にとって見やすい試算表・決算書にしていくことが重要です。

「どの科目にどの経費が入っているのかがわからない」ので終わらせるのではなく、「どの科目にどの経費を入れるのかを明確にする」ことも経営者の仕事です。
経理担当者に明確な指示を出して、自社の財務状況を把握しやすい試算表・決算書を目指して下さい。 

vol.8 運転資金と設備資金

 仕事柄、毎日のように多くの会社の決算書・試算表に目を通す一方で、借入内容のチェック、改善案の検討、金融機関との交渉を行なう機会がたくさんあります。

 不思議なことですが、経営者の方が金融機関とお付き合いする理由は、『会社にお金がなくなってきたから』とか、『買いたいもの(設備投資)を買いたいから』といった単純な動機が多いのも事実です。

 ですが、借入をするにあたっては、その目的や融資を希望する数値的根拠を明確にしないといけません。(金融機関の担当者の中には、中小企業の財務内容を考えて、それに見合った融資を実行しておられるケースもありますが、その一方で目先の融資実績しか考えていない金融機関の担当者がいるのも事実です。残念ですが)

 融資目的を明確にしないままで、融資を実行してもらうと、後で大変なことになってきます。(なぜなら、借入は、いずれ利子をつけて返さないといけないものだからです)

 今の経営状況で、もしくは今後の事業展開次第で『どうやって返すのか?』を明確にしなければ、融資を実行しても、ただ単に会社を延命させるだけに過ぎません。

 ですので、当社が関与させて頂いたお客様については、『どうやって資金を調達するのか?』だけでなく、『借りたお金をどうやって返すのか?』について考えた上で借入内容の見直しを実施しています。

 借入というものは非常に奥の深いものです。

 上手に活用すれば、会社のビジョンを実現できますし、その一方で、活用方法を間違えると会社を倒産に追い込んでしまう力を持っているもの、という言い方もできるでしょう。

 あなたの会社では、借入に対して明確な方針はありますか?

 一つ一つの借入における融資目的は明確でしたか?

 これを機会に自社の借入内容を定期的に見直ししてみて下さい。

vol.7 純当座比率

 財務分析の項目の一つに流動比率という項目があります。
これは、貸借対照表の資産の中にある流動資産と負債の中にある流動負債とを比較して、資金繰りが上手に回転しているのかをチェックする為の指標です。

 ちなみに、貸借対照表の中にある「流動」と「固定」における区分の基準は、一年以内(ワンイヤールールとも言います)で、資産であればキャッシュに換金されるかどうか、負債であれば一年以内に支払われるものかどうかという見方をします。

 ですので、一年以内にキャッシュに換金される流動資産と一年以内に支払われる(キャッシュが出て行く)流動負債とのバランスは、流動資産>流動負債となることが望ましいといえます。

 一般的には、これらを流動比率(流動資産÷流動負債×100)でチェックします。業種にもよりますが、150%~200%あれば、資金繰りが順調にまわっていると言われています。

 ところが、その一方で流動比率が高いにも関わらず、資金繰りに苦慮している会社もたくさんあります。

 というのは、流動資産に隠されている勘定科目に問題があります。
流動資産では、(1)現預金、(2)売上債権、(3)有価証券、(4)棚卸資産、(5)その他流動資産に分類されています。

 中小企業では(3)の有価証券を多額に保有することは少ないので、ここでは(2)(4)(5)を中心に話を進めます。

 まず、(2)の売上債権ですが、これには予定サイト通り回収できている正常債権と、回収が遅れている延滞債権、そして回収が不可能な破産債権に分類する事ができます。
 この売上債権で、仮に延滞債権や破産債権が多額に含まれていたとすると、実際は流動資産に該当しない債権が含まれていることになります。

 次に(4)の棚卸資産ですが、不良在庫が多額に存在していたり、在庫の滞留期間が非常に長い場合は、流動資産に該当しない債権が含まれていることになります。

 そして(5)のその他流動資産ですが、これには、立替金、仮払金、未収入金短期貸付金といった科目が含まれています。
 これらの科目の中には、前期以前の決算書から引き続き残高が残ったままになっているケースがあります。

 このように、(2)(4)(5)の中にもワンイヤールールに適しない債権が含まれていることから、単純に流動比率をチェックして、150%を超える指標だからといって、安心する事はできません。

 これらの事態に対応すべく、当座比率という指標も存在しています。 これは、当座資産(現預金と売上債権、有価証券)と流動負債のバランスを見ることで、資金繰り状況をチェックする為のものです。
 当座比率(当座資産÷流動負債×100)では、棚卸資産やその他流動資産を除いて評価を行なう為、ある程度の信憑性は高まりますが、以下の問題が発生します。

 (1)売上債権の中に、延滞債権や破産債権が含まれている場合
 (2)有価証券が含み損を抱えている場合
 (3)固定負債の中に、ワンイヤールールに適合する支払が存在している場合
  (長期借入金の場合、一年以内に返済する借入元金返済部分が、流動負債の中に含まれていない場合)

 これらのケースが該当する場合、当座比率といっても、正確に自社の資金繰り状況を評価する事ができません。

 そこで、みなさんに実践して頂きたいのが、この純当座比率という考え方です。
 これは、私自身が独自に考えた分析指標ですので、一般的な財務分析指標には掲載されていません。
 この指標をチェックするにあたっては、さきほど記載した当座比率の問題点を考慮して検証します。

   (1)純当座資産...現預金、売上債権のうち正常債権、有価証券(時価)
  (2)純流動負債...流動負債、固定負債のうちワンイヤールールに適合する債務

 
純当座資産÷純流動負債×100=純当座比率


 この純当座比率を使った上で、指標が100%を超える状態であれば、資金繰りは順調であるといえますし、その一方で100%を切る状態であれば、財務面で問題が潜んでいるといえます。

 決算書(貸借対照表)をチェックする際は、是非この純当座比率を使って、財務状況を評価してみましょう。

vol.6 固定資産台帳

 当社が財務改善コンサルティングのお手伝いをさせていただくにあたって、自社での管理を推進しているのが、固定資産台帳の作成です。

 経営者の方にとっては、「見た事がない」「決算書の後ろのページであったような気がする」といったように、あまり目に触れる機会は少ないかもしれません。

 しかしながら、その一方で「減価償却費」という言葉になると経営者の関心はぐっと高まります。

 固定資産台帳と減価償却費は、どのようにつながっているのか?
と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、これが非常に重要になります。

 固定資産台帳とは、会社の有形固定資産・無形固定資産・投資その他の資産・繰延資産の取得価格や取得日、償却方法などを記載した補助簿です。

 この固定資産台帳をもとに、会社で年間実施すべき減価償却費が確定します。

 ところが、日頃目にする事が少ない固定資産台帳を、まれに経営者に見て頂いて確認をお願いすると、「既にない」「廃棄処分した」「取引先に安値で売った」「仕入先にもらった機械が計上されていない」といったようなことがよくあります。

 これでは、(1)適正な固定資産の価格が貸借対照表に計上されない、(2)本来、営業外損益や特別損益に反映されるべき、固定資産の売買、受贈益、除却損といった仕訳を処理していない為、適正な当期損益が把握できない、といった事態に陥ってしまいます。

 また、正確な固定資産を把握していないことで、(3)予算設定に反映すべき減価償却予算にもブレが生じてしまい、結果として予算の進捗管理にも悪影響を及ぼしてしまいます。

 当社では、会計ソフトとして弥生会計を推進していることから、この弥生会計にある固定資産台帳を活用してもらうことをお客様にオススメしています。

 やはり、会計事務所任せにせず、自社でできることはどんどん実践していくべきですね。

 また、平成19年4月から、減価償却の償却ルールも改正されていますので、(これまでと異なり、残存価格も償却できるようになりました)これを機会に、自社で固定資産台帳の作成・チェックに取り組んでみて下さい。