vol.10 債権・債務・在庫の異常値

 私は、仕事柄、毎日のようにいろんな会社の試算表・決算書に目を通す機会があります。
 その月の試算表・決算書を見ただけでも異常な部分は大体把握できますし、昨年度と同月の試算表と見比べたり、期首との比較、前月との比較をするだけでも、異常値は見やすくなります。
 異常値の中で、代表的な事例が債権・債務・在庫に関する項目です。
 これらの項目は、
    (1)金融機関が見抜く異常値
    (2)会社の経営上見つけておくべき異常値
という2つの見方で捉える事ができます。

 例えば、金融機関の立場に立った場合、債権・債務・在庫の数字が適正値であるかどうか(1.粉飾をしていないかどうか、2.債権の中に既に貸倒に該当するものはないか、3.在庫の数値根拠はあるのか?、4.債務を少なく計上していないか?、といった点)に注目しています。

 また、債権については、月商との比較、これまでの決算書等を見比べることで、債務については仕入金額との比較、在庫金額の推移をチェックすることで、異常値の判断を行ないます。
 これから見てもわかるように、適正な数値計上を心がけなければなりませんね。
 これに対して、会社の経営上、見つけておかなければならないポイントも、経営者としては把握しておかなければなりません。
 まずは、債権ですが、これは自社の売上高、並びに売上債権回収サイトと照らし合わせて考える必要があります。

   仮に、毎月の売上が2千万円で、回収サイトが30日とした場合、売上債権の残高としては、月商と等しい金額が残高として計上されます。仮にですが、この回収条件にも関わらず、3千万円や4千万円の債権残高がある場合は、
    (1)未入金・未回収の債権がないのか?
    (2)実質回収できない債権が含まれていないか?
    (3)売上を過去に誤計上していないか?
     (例えば、桁間違いで入力したりしていないか?)
    (4)粉飾計上していないか?
という点が考えられます。

 次に、棚卸資産についてですが、これについても常時棚卸金額の内訳把握(商品別・店舗別・部門別)に努めなければなりません。
また、仕入債務との金額比較も必要です。

 仮に、取引量が増えている場合は、仕入金額も増えているわけですから、それに伴い在庫量が増加するのは理解できますし、取引量が減っているのであれば、仕入金額の減少に伴い、在庫金額も減少していることになります。
ただし、これはあくまで一般論です。これに逆行する事例もないとは言いませんが。

 あなたの会社の債権(売掛金・受取手形)、債務(買掛金、支払手形)、在庫(商品、製品、原材料、仕掛品等)は適正金額になっていますか?

 毎月ご覧になられる試算表では、この債権・債務・在庫の推移を必ずチェックして下さい。財務力をアップさせていく上で、この管理は非常に重要です。
経理担当者と協力して管理を継続して下さい。