vol.18 小口現金の廃止

 先日のブログでも取り上げているように、当社では現在、数社のお客様と経理改善に ついての打ち合わせを重ねています。
 お客様の経理状況やご依頼頂く内容によりますが、基本的には『経理業務の合理化・効率化』を希望されるお客様(経営者)が多いのも事実です。
 そこで、お客様の経理改善を指導させて頂く立場の当社としては、率先して社内の 経理業務を改善して、その効果を検証し、お客様に提案させて頂くスタイルをとる事 にしました。
 その第一弾が『小口現金廃止』です。ルールは以下の通りです。

①社内の小口現金を0円にする(金庫廃止)
②社内の経費精算は小口現金で実施しない
→(給与振込等と一緒に)振込で処理する
③取引業者との取引でも、現金での支払をしない
→請求書を送ってもらって振込するか、口座振替の処理をする
④クレジットカード保有者は極力カードで決済する
⑤経費の立替が多額になる社員を考慮し、過去の社員別経費精算額をチェックした上で、 定期的に仮払金を支給する
→仮払金は(給与振込等と一緒に)振込で処理する。以後は、毎月の使用金額の差額を仮払金で社員の個人口座に振込を行う。
⑥〆日を月1回(会計上の月末日、末日決算であれば末日に、20日決算であれば20日を  〆日とする)
→これにより、毎月の試算表に未払計上が可能となり、また、決算時に帳端を計算する手間も省ける。
⑦社員には、領収書をまとめて記載する経費精算申請書に領収証の明細を記載してもらい、領収書ごとの内容、ならびに科目ごとの合計額を記載してもらう。
→社員には、勘定科目内訳明細書を配布し、どの経費を使えば、どの勘定科目に分類するかを事前に伝えておく。
⑧経費精算申請書については、〆日の翌営業日までに提出してもらう
→提出が遅れた場合、精算は翌月に繰越(試算表の完成期限を厳守する為)。
 領収書の枚数が多くなる場合は、一週間ごと、10日ごとといったペースで経費精算申請書を回収する。

以上が、簡単な概要です。
 小売業や飲食業など、現金商売の方については、店舗のレジ現金だけを独立して管理 (つり銭以外の現金は翌日に銀行入金)して、経費の支払等については、上記のルールに のっとって処理してもらえると、対応可能だと思います。

小口現金があると、

①日々の現金残高を確認しなければならない(小銭やお札の枚数が異様に多いと、 チェックするだけで毎日多くの時間を費やしてしまう)
 →結果として、そこに人件費を費やしているのと同じです。
 →仮に、現金残高にズレが発生した場合、その突合せの為に多くの時間を割いてしまう場合がある。
②経費精算の手間がかかる
 →会社によっては、数人で一日がかりで経費精算している会社もあるようです。その分、人件費がムダになっています。しかも、お金を触れる人は特定の人しかできないので、役職者が特定の人の場合、その人件費は結構な金額になります。
③社員からも随時、経費精算の依頼があり、その都度経理担当者の手を止めることになってしまう
 →業務効率が下がる

といったようなデメリットがあります。

経理担当者としては、小口現金を廃止するという行為自体が抵抗があるかもしれませんが、 社内の業務効率を考えると合理的な方法ですので、一度挑戦してみる価値は十分にあると 思います。
 当然、これによって空いた時間は、会社の財務に関すること(資金繰りや予算の進捗管理 など、経営者が求めている仕事)に時間を割けるようになりますので、経営者も安心して 経営に取り組む事ができると思います。小口現金に限らず、これを機会に経理業務全般を 見直して、より効率的・合理的な経理処理方法に取り組んで見ましょう。

 

vol.17 数字は結果

 M's Factoryでは、会計データから得られる情報をもとに、財務分析資料 を提供していますが、中には、その数字を毎月心待ちにしていて、数字を見て一喜一憂 しておられる経営者もいらっしゃいます。

 また、数字を見た途端に不機嫌になって、現場のスタッフに八つ当たりする経営者や、 業績がよくないことにイライラしておられる経営者、そしてその逆で、思ったより業績 が良いとわかると、急にスタッフに優しく接する経営者などをよく見かけます。

 データを作成している我々にとっては、お客様にそのような反応をして頂けることは、 資料に対する理解を深めてもらったということで、一見喜ばしいことかもしれませんが、 私自身は、「毎月の数字は、あくまで結果に過ぎない」ということ、そして「その数字 を生み出すのは、日々の行動の積み重ねである」というスタンスで財務分析資料に目を 通してもらうように、経営者の皆様にお話させて頂いています。

 毎日の積み重ねが、毎月の業績となって表れるわけですから、日々の経営状況を数字 で把握することこそが、経営者にとって大事な仕事ではないかと思います。

 わかりやすく言うと、我々の健康診断の結果と同じです。

 健康診断では、いろんな分析データが出ますよね。体脂肪率や血糖値なども、その 最たる例と言えるのではないでしょうか。

 出た数字は結果であり、それらの指標を改善するのは、やはり日々の努力しかないのです。

 明確に改善目標を決めて、それを達成すべき日々取り組むという観点からすれば、 企業経営も、我々の健康管理も同じ原理だと思います。

 あなたの会社の健康状況(財務状況)はいかがですか?

 良い指標であれば、どのように維持していくのか、より良くしていくのか?また悪い 指標であれば、どうやって、いつまでに改善していくのか?といった点をイメージ しながら、自社の財務分析資料に目を通してみて下さい。

vol.16 貸借対照表の内訳確認

 当社が財務コンサルティング業務の中で、『貸借対照表の整備』という仕事があります。

 『貸借対照表の整備』と聞いてもよくわからない方もいらっしゃるかもしれませんので、 簡単に説明しますと、貸借対照表は、会社の財産(資産・負債等)金額を明確にして、その 会社の一時点での財政状態をチェックするものです。

 なので、試算表や決算書の貸借対照表を見て頂くと『平成○○年○月○日現在』と記されて います。

 もちろん、綺麗に整備されている会社もたくさんあるのですが、同時に貸借対照表の中の 勘定科目の残高が不明瞭なものがたくさんある会社も数多く見てきました。

 一般的に金融機関等の第三者が、会社の決算書を評価する場合、貸借対照表において、 健全な資産が計上されているか、的確に負債項目が計上されているかが確認されます。

 この段階で、資産の内訳内容に不明なものが多かったり、仮払金が多かったり、または 計上されるべき負債の金額が少なかったりすると、当然のことですが、金融機関からの 評価は下がってしまいます。

 ですので、我々が財務コンサルティング業務に着手させて頂く際も、まずは貸借対照表の 各勘定科目を精査(チェック)して、健全な資産だけを計上するように指導させて頂きます。

 そして、ここで活躍するのが、補助科目です。
補助科目は各勘定科目の内訳を確認するのに、非常に有効なツールです。

「決算の時だけ内訳書を作成したらいいんじゃないの?」と思われる方もいらっしゃるかも しれませんが、試算表の提出を金融機関に求められることもありますし、いつでも内訳を 確認しておくことで、金融機関から質問された時に的確に回答できるようにすることも 大切です。
的確に回答することで、その会社の貸借対照表における信用は着実に上がります。

 逆に明確な回答をせず、質問内容に答えなかったり、経理担当者が「わからないから」 と言って、会計事務所や我々のような第三者に答えさせたりする会社がありますが、これは よくありません。自社の情報を自社で管理することが、信用の第一歩と言えます。

 みなさんの会社では、貸借対照表の管理をしておられますか?
経理担当者だけでなく、経営者自身も会計ソフトを適度に覗いて、自社の貸借対照表を チェックする癖をつけて下さい。

vol.15 二分の一理論

 中小企業が、財務改善に取り組む中で、多くの時間を割くのが、「固定費の削減」です。

 ですが、中途半端に固定費を削減しようと試みたとしても、抜本的な成果が出ないことが多々 あります。

 それは、例えば「固定費を削ろう!」と思ったとしても、これまでかけた経費をどれだけ削ら なければならないのか、その達成基準が不明確なためです。とりあえず、削れそうな経費があれば削ってみるという考えでは、抜本的な固定費管理は難しいといえるでしょう。

 では、固定費の見直しはどのように進めればいいのでしょうか?

 このポイントが、「二分の一理論」の考え方です。

 これは、製品の保管庫が50坪あった場合、これを25坪のスペースだけで保管できないか? と考えたり、100名の工場スタッフで取り組んでいる仕事を50名で取り組めないか?と考え たり、事務所にある机10台を5台に減らして仕事を進める事ができないか?と考えたり、残業 時間が一人当たり月80時間かかっているものを半分の40時間にできないか?と考えたりする 方法です。

 この方法の特徴は、①具体的な目標が決まること、②既存の考えの延長線上では、目標を達成する事が困難なため、抜本的に考え方を転換させることが必要になる、といった点があげられます。

 我々は、日頃何かを改善しようとしても、現状の固定観念に基づき、その延長線上で何かを 改善しようと考えがちです。言い換えれば、極力変化を伴わずに、物事を上手に改善する方法 はないかと考えがちだということです。

 これでは、大きな成果を見込むことは困難です。

 そこで、現状の考えを一から見直し、少々の改善では手が届かない範囲の目標を設定することで、「既存の考え方では目標を達成することは困難だ!」と意識付けができ、「今までにない斬新なアイデアや技術革新で目標を達成しよう!」という心理が働きやすくなります。

 実際に、この考え方を取り入れられて、多くの成果を挙げておられる会社はたくさんあります。
みなさんの会社でも、固定費を見直す際は、是非この考え方を取り入れてみて下さい。

 ちなみに、売上を見直す際は、この逆で、「現時点での売上を2倍にするには?」という コンセプトで考えた方が、より良いアイデアが生まれるそうです。

 売上、変動費、固定費を改善して、適正利益の獲得を目指しましょう。

vol.14 キャッシュフロー計算書(直接法)

 当社では、財務分析を行う一つのツールとして企業のキャッシュフローをチェックすることにしています。
 当然、キャッシュフロー計算書をチェックして営業活動、投資活動、財務活動の概要を確認し、課題を抽出します。
 ご存知の方も多いと思いますが、このキャッシュフロー計算書には、2つの作成パターンがあります。
 一つは、直接法、もう一つは間接法という表示方法です。
 日本の企業や金融機関では、間接法によるキャッシュフロー計算書が主流となっており、当然ながら金融機関の目線も踏まえたアドバイスを行なう当社も間接法でのチェックを主体としています。

 ですが、間接法にも短所がないわけではありません。とりわけ、営業活動によるキャッシュフローの評価が判断しづらいという欠点も兼ね備えているのも事実です。
 これに対して、あまり市場では活用されていませんが、営業キャッシュフローを端的に把握しようと思えば、直接法によるキャッシュフロー計算書の活用が有効です。
 直接法では、営業活動を以下の構成内容で作成するからです。

 (1)営業収入(現金売上や、債権の回収等)
 (2)原材料又は商品の仕入支出
 (3)人件費支出
 (4)その他の営業支出
    小計
 (5)利息及び配当金の受取額
 (6)利息の支払額
 (7)損害賠償金の支払額
 (8)法人税等の支払額
 (9)営業活動によるキャッシュフロー
     計

 以上が、直接法による営業キャッシュフローの把握方法です。
 (1)(2)(3)(4)の数字が把握できれば、損益計算書での利益と実際の商売での一ヶ月単位の収支とを比較でき、自社の資金繰りの問題点が明確になるという点が、直接法の良い点ではないかと思います。

 ただし、直接法は、計算書類を作成するに当たり、計算項目を細分化している間接法と異なる為、項目ごとの集計に時間がかかってしまうという問題点もあります。
 とは言うものの、自社の資金繰りを管理する手段として活用できることには、間違いありません。
 企業の財務を強くするにあたっては、試算表や資金繰り表、キャッシュフロー計算書といった各種資料にも目を通すことをオススメします。