vol.30 数字が意味するものとは...

 当社では、毎月のお客様の財務データをもとに、分析指標や予算達成率、昨年度対比など、 数字を基にしたコンサルティング業務を提供しています。

 当然、財務データでは、直近の月の状況を数字データとして表現しますので、結果として出た 数字を様々な観点から検証して、対策を講じていきます。

 例えば、資金調達・返済に問題があるのか、設備投資の金額・回収状況に問題があるのか、 または営業活動自体に問題があるのか、といったように、データを通して、いろいろな分析を 行なうわけです。

 ですが、ここで間違ってはいけないことがあります。

 それは、数字というものは、あくまで直近の結果に過ぎないということです。

 よく、業績を検討する会議の場で、毎月の分析データを見たとたんに、幹部や従業員に対して カリカリしている経営者や、怒りを顕にする経営者がいらっしゃいますが、これではせっかくの 数字を通じて原因追求をしようとしても、幹部や従業員への責任転嫁の為の会議になってしまいます。

 経営者にとって、責任を問われているのは、毎月の出た結果のデータを見たときではなく、 日々の経営活動にあると思います。

 売上や利益が予算を下回ったり、予想以上に固定費や変動費がかかったからといって、その データをもとに追求するのではなく、日々経営している中で厳しく現場を指導すること、 チェックすることこそが経営者に求められている役割ではないでしょうか。

 そして、日々の指導の結果を、一ヶ月データで検証する。

 しかも、そのデータの善し悪しは、他の誰でもない経営者自身の責任であることを自覚しなければなりません。

 このように、私自身は、会社内での財務力を改善していく秘訣は、経営者自身が、日々の経営に対してどのように取り組んでいるかにかかっていると思います。

 日頃から、方針管理、行動管理を怠らずに実施すれば、自ずと経営者の目指す売上・利益 (変動費・固定費)になるはずです。

 もし、予算が達成しないとすれば、それは

①経営者自身が掲げる目標数字に問題がある
②経営方針と目標数字を連動して設定していない
③経営方針を日々、現場に浸透させていない

 といった点に問題があると言わざるをえません。

 経営者は、数字は数字として冷静に受け止め、目標数字を達成するための方針設定、及び方針の進捗管理に力を注いで下さい。

vol.29 自社の業績管理

 先日、建設業の経営者とお会いする機会があり、自社の業績をどのようにチェックして おられるか?という話になりました。

 その経営者曰く、「うちのような業種は、業績がわかりづらいから、頭の中で資金繰り だけ計算しながら商売をしている」とのこと。

「試算表には毎月目を通されないのですか?」と質問すると「経理担当者に聞いてみると、 日ごろは、入出金を基準とした処理をしているのと、損益計算書についても、工事が 完成した段階ではじめて売上が計上されてるそうなので、私には、正直言ってあまり 理解できないんです。
 でも、本当は毎月の業績がどうなっているか知りたいんですけどね。」という回答でした。

   経営者から試算表を見せて頂いたのですが、日ごろたくさんの試算表に目を通させて 頂いてる私どもが拝見させて頂いても、本当に業績が良いのかどうか、損益計算書だけ では把握しづらい状況でした。

 業種にもよりますが、経理処理次第で、自社の業績管理は容易に管理できます。

   ポイントは3点です
1)発生主義で処理すること
 毎月の試算表を完成させるにあたって、その月に該当するであろう売上を計上すること
(先ほどの建設業の事例でいくと、請負工事の進捗度合いや工事期間を月数で割って  算出します)

2)期間按分を利用すること
 毎月支払う経費の中には、数ヶ月に一度や、年に一度しか発生しない経費もあります。
(保険料や賞与といった経費ですね。その他にも特定の月に多額の支出がある経費のこと です)
 これらの経費は、その月にのみ経費計上するのではなく、年に一度の経費であれば、 12分の1ずつ計上するといった方法をとって、毎月の経費計上を平準化すると、会社の 実態が把握しやすくなります。

3)費用と収益を対応させること
 これは、1)と2)の応用です。

 例えば、新店舗出店等の場合、店舗オープン前後の月に多くの支出が発生しますが、 これらについては、経費のみが発生して、売上が計上されていません。
 このようなケースの場合、出店後、売上の計上がスタートすると共に、数ヶ月~数年間に かけて経費化して処理するという方法が妥当といえます。

 建設工事等のケースでは、工事の進捗度合いと、経費のかかり具合にもばらつきが 見られると思いますので、売上計上と経費計上のバランスを踏まえて損益資料を作成して みるのもいいと思います。(但し、最終的に、工事が終わった時点で全ての売上、経費を 計上することになります。)

 皆さんの会社では、経営の実態をどのように把握しておられますか?

 試算表や決算書だけに依存することなく、自社の経営に活用できる資料作りを実践して みてください。