vol.50 1円回収

 皆さんの会社では、債権回収に向けて、どのような取組をしておられますか?

 通常、売掛金や受取手形などの債権は、「正常債権」「延滞債権」「破産債権」と
大きく3分類できます。

 正常債権については、通常のサイト通りで回収できる債権ですので、問題は
ありませんが、会社にとって重要になってくるのが、「延滞債権」の取扱いです。

 売上債権というものは、法律からすると2年間、こちら側が催促を何もしなければ、 時効が適用される債権です。

 ですので、債権回収が滞ってから、自社がどのようなアクションを起こすかが非常に 重要となってきます。

 口頭で「払って下さい」と催促したところで、何も記録は残りません。実際には、
内容証明を送ったり、債務確認の同意書を定期的に送るなど、対策を講じなければ
なりません。

 また、これらの延滞債権回収の対策の一つに、「1円回収」という回収方法が
あります。

 これは、延滞債権を抱えている得意先を訪問し、延滞している金額の支払を
督促します。

 多くの場合、「今度支払う」とか「○○日まで待って欲しい」といったような返答が 帰ってくると思います。

 と、このまま帰っていたのでは、何も記録が残りません。

 そこで、出てくるのが「1円回収」です。

 これは、支払を拒む得意先に対して、「今ある手持ちのお金の一部でいいので、
それを払って欲しい」と督促する方法です。

 極端な話、1円でも構いません。

 仮に1円を回収した場合、その場の領収証に回収した金額(1円)と、但し書きに 『○○年○月○日付の売上債権のうち、1円回収』と記載して、先方に領収証を
手渡します。

 これにより、先方も債権の残高を公的に認識したことになりますし、効果的なのは、 「この会社は、口うるさい会社だから、早めに払おう」という気持ちにさせてしまうこと です。

 現に、延滞債務を抱える会社の多くは、「支払額の多い会社」から債務の返済を行なう のではなく、「口うるさい会社」から支払を優先することが多いのも事実です。

 皆さんの会社では、延滞債権の回収について、どのように取り組んで
おられますか?

 社内で、債権回収についてのルールを明確化し、対応を強化して下さい。

 なお、これらの回収方法を実践するには、営業担当者と経理担当者の連携が必要 不可欠となります。

営業・経理の双方が延滞債権に対する認識を一致させた上で、売上債権を100% 回収できるよう、取り組みましょう。

vol.49 投資効果検証会議を開催しましょう!

 毎月1回~数回にかけて、顧問先の中小企業を訪問させて頂き、月次財務報告を行う 一方で、いろんな財務相談を受けます。

 その中でもっとも多い項目と言っていいのが「今度、○○を買おうと思っているのですが」 「○○に投資しようと思うのですが」というお話です。

 当然、購入・投資する目的をお聞きした中で、投資に対する効果が不明瞭な場合には、 購入を控えるようお話させて頂きます。
 一方で、投資に対する効果をシミュレーションした結果、明確に効果が出ると判断できた 場合は、リスクを説明させて頂いた上で、OKを出すケースもあります。

 しかしながら、実際に投資を実行したとしても、注意しなければならないのは、
「効果検証を怠っている」場合です。

 投資前には、どれだけの効果が出るのかを細かく検証している経営者でも、
購入後は、その効果に対して関心が薄くなってしまいがちです。

 多額の投資をして機械を買ったり、有価証券を購入したり、ソフトウェアを開発したり、 採用活動や広告宣伝を実施したりといったように、投資前には多くの関心を寄せるものの、 いざ購入してしまうと、その熱が冷めてしまう経営者が多いのも
事実です。

 しかも、これは経営者に限った話ではなく、幹部の方々の決済の範囲内で、固定資産の 購入やリース契約を決定しているケース等でも、実際に購入した後は使われずに、遊休資産 として倉庫に眠っているという話もよく聞きます。
 これらの問題は、いずれも「効果検証」をしない結果、生まれてしまう無駄と
言えます。

 生命保険などのように、年に一回支払う機会があれば、支払う前に本当に必要かどうか 見直す機会も出てきますが、支払いも一回限りであったりするような場合では、他の固定 資産や経費の中に埋没してしまいがちです。

 このようなケースでお勧めの対策方法としては、「効果検証会議の開催」が
挙げられます。

 この会議自体の開催頻度は、年に1回~数回程度で構わないと思いますが、内容としては、 直近で投資・購入した固定資産や特別経費(人材採用費、教育研修費、営業活動費、販売促進費など)の内容について、会社にどれだけの効果をもたらしたのか、また投資に対する回収が 期待できなくなったケースでは、何が問題だったのか、といった点を検証します。

 場合によっては、役職者の決裁権限を変更することもあるでしょうし、
固定資産として不要であれば、売却や賃貸等の措置を講じることもあります。

 ですが、しっかりと検証することにより、次回以降の投資を行う際には、これまでの課題や 失敗が教訓となって活きてきます。

 要するにPDCAサイクルが機能するということです。

 このPDCAサイクルが社内に根付くと、経営者だけでなく、幹部や従業員の間でも、 コスト意識や投資に対する効果意識が浸透することになります。

 みなさんの会社でも、ぜひ取り入れてみて下さい。