vol.52 事業計画と財務計画

 最近、お客様と事業計画について相談を受けたり、チェックをさせて頂く機会が多数あります。

 当然、営業面や管理面など、経営者が掲げる中長期のビジョンが明確に描かれており、私自身も事業計画を楽しみに拝見させて頂いています。

 ですが、多くの経営者が財務計画について詳細に記述しておられるケースは 非常に少ないです。
「売上目標○○億円!経常利益○千万円!」
といった言葉は、見受けられますが、どのようなプランで、その事業計画を 達成するのか?
その根拠となる内容が残念ですが、若干乏しいように感じてしまいます。

 中には、財務計画について大まかな目標を掲げ、
「あとは、M's Factoryにお任せ!」
とか責任者の欄に「M'sさん担当」とだけ記述されている計画書も...(苦笑)

 私どもとしては、信頼して頂いていると前向きに解釈はしますが、やはり、 明確な根拠、達成に向けての裏づけを数値面で確認しなければ、せっかく立てた ビジョン・目標が絵に描いた餅になってしまいます。

①目標売上、利益達成に向けての予算
 →全社予算、月別予算、部門別予算、商品別予算、個人別予算

②資金繰り計画 
 →予算を実行した場合に、資金繰りが潤滑に回るかどうか?
 →資金調達計画の見直し、得意先・取引先との取引条件の見直し

 これら①②の数値計画が、過年度の実績と比較しても達成可能と判断できるか どうかという点についても検証する必要があります。
(いくら数値計画と言っても、達成可能と第三者が見て感じなければ、  意味がありません)

 事業計画は、企業の今後の方向性を決める羅針盤ですから、経営者にとって、 従業員にとって、大変重要なものです。

 そのため、事業計画の信憑性を上げるためには、明確な根拠としての財務計画を しっかりたてておくことが重要となります。

 事業計画と財務計画が融合すれば、目標達成が明確(数値で設定しているので、 目標が達成できたかどうかが明らか)になります。

vol.51 手許資金は、いくら必要?

 皆中小企業の経営者の多くの方が、「日頃、手許資金としていくらぐらいの金額を 置いておいたらいいの?何か目安になるものは無いの?」という疑問を持たれたことが あるかと思います。

 経営者の中には、「無駄な利息を払いたくない」という思いで、現預金がギリギリ の状態まで、無駄な借入をしない!というコンセプトの方もいらっしゃいます。

 また、その一方で、手許資金を潤沢にするために、多くの金融機関から借入を積極的に しておられる経営者(その代わりに、たくさんの借入金利を支払っている経営者)もいらっしゃいます。

 はたして、どちらが正しいのか??という疑問がわきますが、回答としては、 「適度なキャッシュを手許資金として置いておく」という答え方が無難な回答となります。

 では、何をもって「適度なキャッシュ」となるのか、そのポイントをいくつか挙げて
みましょう。

 ①売上が予想通りに上がり続けると思わない事業計画や昨年度対比等で数値目標を掲げる場合、どうしても良い方向での見通しを立てがちですが、昨今の経営環境では、いつ何が起こるかわかりません。
その中では、常にリスクを踏まえて、資金繰り計画を考える上では、売上を少なめに見積もることも重要です。例えば、計画上の数値計画よりも、5~10%下方修正して売上計画を考えます。

 ②債権が100%回収できるとは限らない売上計画同様、入金計画についても、100%回収に向けて与信管理を行い、100%回収を実現しなければなりませんが、その一方で、主要得意先の入金が遅れたり、倒産するといったリスクも想定しなければなりません。
これについても①と同様に5%~10%が回収できないという想定で考えます。

 ③支払いは確実に行わなければならない企業経営は「信用取引」です。仮に支払いサイトの延期を取引先に要求したり、金融機関にリスケの交渉を行う場合は、多くの信用を失う(今後の取引が難しい)ことを前提条件に取引しなければなりません。
従来通り、円滑にビジネスを行うのであれば、支払いは確実に実施しなければなりません。このことが資金繰りを円滑に行う上では必要不可欠です。ですので、支払いについては100%支払うという前提で資金繰り計画を考えます。
また、経費や設備投資についても、予定以上に支払い(特別支出)が発生するケースもありますので、支払い計画を考える段階では、予定金額を少し多めに見積もることも重要です。

 これら3点のポイントを踏まえて、一度資金繰り計画を立ててみて下さい。
 例えば、①②については、5%減(95%の達成率)で計算し、③については、105%の支払い計画で資金繰りを見積もったとします。

 そして、その段階で、会社の資金繰りが何ヶ月でマイナスに陥るのかを測定してみて
下さい。

 現段階から資金がマイナスに陥るまでの期間が、「自社の生存年数」と言えます。

 M's FACTORYでは、この生存年数の目安として、2年間を基準にして頂きたいと日頃からアドバイスしています。

 というのも、仮に進行期の決算で赤字決算等に陥った場合、これまでの取引金融機関が急に手のひらを返して、追加融資を断ってくることも想定しなければ
なりません。

 となると、次の決算期で黒字決算に向けて努力をし、決算書の内容を改善した上で、再度、金融機関との融資交渉に臨むまでの期間を考えなければなりませんので、その場合、2年間という期間が必要となってくるわけです。

 皆さんの会社でも、一度この計算ルールに基づいて、手許資金がいつの時点で
マイナスに陥るのか、その年数を計算してみましょう。

 財務計画を立てる上では、「入金は少なめに、支払いは多めに」考えることがポイントです。