vol.62 同じことを同じようにしない

 私自身の、仕事のコンセプトの一つが、今日のタイトルにある
「同じことを同じようにしない」です。

 これは、例えば、社内研修であれば同じ研修を毎年同じ人が、
新たに入ってきたスタッフに、その都度個別に行うのではなく、
実施した研修は、ビデオ撮影する等して、
次年度以降は新入社員にビデオを見るように指示しておくというものです。

 最近では、ipodや携帯電話でもこれらの動画が見られるようになっているので、
出勤途中や休日などの宿題で見てもらうのも一つだと思います。

 また、経理の合理化に関するアドバイスを行う際も、同じことを同じように
処理するのではなく、前回よりも速くできる方法、前回よりも安くできる方法、
前回よりも見やすくできる方法をコンセプトに指導させて頂いています。

 経理処理の場合、それを処理するスタッフが同じ処理を継続するということは、
企業にとってはマイナスといっても差し支えありません。

 言いかえると、人件費が上昇していくのに対して、仕事の成果は一緒だとすると、
企業経営からすると意味のない結果となってしまうからです。

 特に、経理処理というのは、経理担当者の聖域になりかねない
業務範囲ですので、改善するということそのもの自体への抵抗もあります。

 ちなみに経理合理化の指導をさせて頂く際の私のポイントは、
「単純化すること」「ITを活用すること」「人の手に委ねないこと」の3点です。

(1)単純化する
 経理処理の大半は、単純作業の連続です。独自の判断を要するケースは、
全体の1割~2割程度ですので、まずは単純化できる部分を徹底的に
単純化します。

(2)ITを活用する
 多くの中小企業では、手書きで伝票を作成することにたくさんの時間を
費やしている経理処理を目にします。
 ですが、手書きで書くことが大事なのではなく、いかにその処理を速く
仕上げるか?が目的ですので、効率的に仕事を進めるにあたっては、
ITを徹底活用します。

(3)人の手に委ねないこと
 経営者が最も恐れているのは、経理担当者が辞めることです。なぜなら、
営業や商品開発等の分野については、ある程度対応できるものの、
経理の後任となると、経営者自身が経理畑を歩んでいない場合が多いことから、
どのように対応してよいのかがわからないからです。
 会社によっては、経理担当者に辞められてはいけないと経理担当者には
一切の無理を言わないようにしている経営者もいらっしゃるくらいですから(苦笑)。
ですが、これが一番会社にとってのリスクです。
 企業としては、特定の人に依存するのではなく、常にカバーできる状態、
言いかえれば、誰でもできる状態を作ることが大切です。

 このようなことを書きましたが、もちろん、私が知っている中小企業の
経理担当者でも、上記の3点を実践しておられる方はたくさんいらっしゃいます。

 そして、それらの人たちすべてが、最初は皆さんと一緒に手書きの経理処理を
行い、一人で経理処理方法に悩んでおられた方々ばかりです。

 要するに、やる気があれば誰だって上記の3点は実践できるということです。

 みなさんの会社では、経理担当者の業務はどのような状態に
なっていますか?

 一度、経営者自身が自分の目で確認してみてください。

vol.61 短期借入金の位置づけ

 M's FACTORYが中小企業の財務改善のお手伝いをする中で、まずは、
現在の財務状況を確認するために、決算書の中身をチェックさせて頂きます。

 その中でも、借入金については、注意してチェックを行います。

 というのも、企業によって、「短期借入金」「1年以内返済長期借入金」
という名目で流動負債に表示されている借入金と、「長期借入金」「役員借入金」
といった科目名で固定負債に計上して、借入内容ごとに表示方法を区分している
ケースもあれば、役員借入金を「短期借入金」、金融機関からの借入金を
「長期借入金」に一本化しているケース、または全ての借入金を「長期借入金」と
しているケース等、合計残高はわかるものの、その内訳を決算書だけで
判断するのは難しいからです。

 当然、内訳書や借入金の返済明細書と見比べながら、確認を行います。
 そして、借入ごとに返済内容が確認できれば、その後は具体的な借入返済
スケジュールの見直しを進めることになります。

 一般的には、財務体質を改善する上では、極力借入の返済をゆっくり
(長期間で)返済できる方法を検討するのが常套手段です。
その最たる部分が短期借入金を長期借入金にシフトする方法ですので、
これによって毎月の元金返済額を少なくして、返済スケジュールを
自社の営業収支の範囲内で支払えるように変えていきます。

 ですが、これが全ての企業に当てはまる方法であるとは言えません。
 企業のビジネススタイルによっては、短期借入金を有効活用した方が良い場合も
あるわけです。

 代表的なのが、多くの在庫を抱える業種です。

 このようなタイプの企業では、抱えている在庫をどれぐらい抱えるか、
またその在庫を販売して、売掛金を回収するまでにどれだけのサイトが
必要なのか、によって状況は変わってきますが、在庫数が大幅に増減せず、
必要在庫としてある一定の在庫を抱えなければならないケースでは、
その在庫金額に見合う短期借入金を常時抱えておくことが資金繰りを
安定させる上で、重要になってきます。

 在庫を抱える金額分だけ、企業としては手許資金を減らしているわけですから、
それを短期借入金で資金補填するというのは、単純な発想に聞こえるかも
しれませんが、重要なことです。

 但し、短期借入金と一概にいっても、その資金調達方法はいくつか考えられます。
 通常は、1年以内で返済予定の借入金、手形貸付、当座貸越等で調達した
資金等が短期借入金として認識されています。

 できれば、毎月元金返済を伴わない借入が望ましいですので、1年単位での
手形貸付の資金調達を行い、それを毎年更新する方法を取ったり、
当座貸越を利用して、在庫金額相当分の貸越を継続して実施するという方法を
選択して頂いた方が、手許資金が安定すると思います。

 なお、当座貸越等を利用する際に、金融機関からは、定期預金を担保として
差し入れるように要求されるケースがありますので、注意して下さい。

 このように、短期借入金といっても、企業のビジネススタイルによって、
その評価は様々です。

 もちろん、上記のように在庫を抱える企業であったとしても、営業収支が順調に
プラスを出している場合は、これらの短期借入金を一括返済したり、約定返済
(毎月元金返済を行う借入)に切り替えたりして、借入自体を減らすことができれば、
毎月の支払利息も減りますので、
理想的であることは事実です。

 いずれにせよ、決算書や試算表の短期借入金・長期借入金の科目残高だけで
判断するのではなく、まずは、今の借入金の残高及び返済方法が、自社の
ビジネススタイルに合っているかどうか、チェックすることから、始めてみて下さい。

vol.60 経理を合理化したその先には?

 最近は、「経理を合理化する」ということについて、
いろんな経営者の方からお問い合わせやご相談を頂きます。

 そもそも、経営者にしてみれば、経理というものは
よくわからない仕事です(これは、経理畑出身の経営者が少ないのが
最大の理由ですね)。

 また、経理担当者にしてみても、自分の型を変えるということ
そのものにすごく抵抗感を感じる方が多いのも事実です。

 伝票を手書きし、一生懸命会計ソフトに入力して、
試算表の科目一つ一つの残高を合わせるという行為そのものが経理!
という価値観が根強くあるようです。

 会社によっては、小口現金や営業マンの経費精算をするためだけに、
経理担当者が一か月のうちで大半の時間を割いているというところもあります。
 確かに、これまでの経理はそれが普通・一般的とされてきました。
 ですが、経理本来の目的は「経営管理」にあります。
 経理=経営管理の略称(最初と最後の文字をとって経理)という考え方が
あるほどですからね。

 要するに、経理という業務そのものは、企業経営に役立つ情報を
提供する存在でなければならないということです。
 ですから、試算表を仕上げる業務自体を極力効率化して、
それ以外の業務で、例えば

・会社全体の予算や資金繰り計画を考えたり、
・商品別・部門別・店舗別・個人別に予算管理を実施したり、
・経営者の考えるビジョンと財務計画をマッチングさせたり、
・金融機関の借入の見直しを図ったり、
・会社の変動費・固定費の見直しや削減を検討したり、

などなど、経理部というよりも財務部としての業務に時間を費やしてもらうことが、
本来の経理担当スタッフの役割ではないかと思います。

 そういう仕事は苦手だ!という経理担当者もいらっしゃるかと思いますが、
そのような性格の方でも、余った時間を使って、営業事務などの業務を
フォローしてもらう等、純粋な経理業務以外の部署でも十分に力を
発揮できます。

 よく考えてみてください。経理・数字を理解している人が
営業現場にいるだけで、見積もり金額のチェックや債権回収で
どれだけ力になることでしょうか。

 みなさんの会社でも、経理担当者がどのような業務に時間を
費やしているか把握しておられますか?

 ただ単純に経理システムを合理化するだけでなく、そこで働く経理担当者が
イキイキと働ける環境を整備することも経営者の大事な仕事です。

 経営者自身が、「経理はよくわからない」で済ませてはいけません。
 しっかりと経理担当者、そして経理業務と向き合い、会社として
とるべき改善措置を講じてこそ、企業財務は改善できます。