vol.66 利益管理は経営者の仕事

 あなたの会社には、年払いの経費(半年・数か月に一度払う経費)というと、
どのようなものが挙げられますか?

・賞与
・社員旅行
・採用募集費用
・研修費用
・生命保険料
・損害保険料
・諸会費
・減価償却費
・地代家賃
・広告宣伝費(イベント費用など)
・保証協会への保証料

などなど、上記に列挙した項目を含め、それ以外でもいくつか思い当たる経費が
あると思います。

 なぜ、年払いの経費を挙げたのかといいますと、これらの経費が、
会社の利益予測に必要不可欠だからです。

 経営者の多くは、売上の予測については、現場感覚を理解しておられることから、
精度の高い見通しを立てることができるのですが、利益予測となると決算まで
わからない!という声を数多く聞きます。

 税理士事務所や会計事務所が、そのようなアドバイスをしたり、
経営者や経理担当者が、その重要性に気付いて自社で管理すれば、
問題ないのですが、実際に利益予測・利益管理に取り組んでおられる
会社も少ないのが現状です。

 実際、多くの中小企業が、決算間近に利益が結構出ているとなると、
急いで生命保険に加入したりして、付け焼き刃のような節税策を講じる
だけになってしまうことが数多くあります。

 このような事態に陥らない為にも、年払いの経費を予め確認し、これらの
年払い経費を「毎月の経費として分割計上すること」が重要になってきます。

 これにより、毎月の固定費総額のバラツキが少なくなるので、固定費の
見通しも立てやすくなります。言い換えれば毎月の利益予測がしやすくなる
ということです。

 会社というのは、自社のビジョンに沿って、必要な利益を出さなければ
なりません。
 いわば、利益は、自社のビジョンを実現するための手段と言っても
いいかもしれません。

 その利益管理を行うのが、経営者の重要な仕事の一つです。

※ちなみに、予算管理は幹部の仕事、原価管理は一般社員の仕事
と位置付けられます。

 もちろん、売上も大事ですが、経営者という立場である以上、
利益から目をそむけてはいけません。

 まずは、利益を見る練習として、売上だけでなく、毎月の売上総利益、
営業利益、経常利益、税引前利益、当期利益(これらを5つの利益と言います)
に注目してみて下さい。

 そして、それらの数字を正確に把握する為、見通しを立てやすくする為にも、
年払いの経費を毎月の経費として認識し、分割計上することで、
正確な利益を把握するよう、取り組んでみましょう。

vol.65 固定資産の見直しをしていますか?

 資金繰りの問題に直面すると、大手上場企業・中小企業といった
企業規模に関係なく、変動費や固定費の見直し、資金調達・借入返済の見直し
といった点がクローズアップされます。

 当然、変動費・固定費の削減に努めることで、出て行くキャッシュは
減りますし、新たに資金を調達して手許資金を増やしたり、借入元金の
返済方法を見直すことでキャッシュの流出を食い止めることも可能です。

 ところが、これらの財務改善方法に加えて、意外と忘れられているのが、
固定資産の見直しです。

 一般的に、「固定資産」と聞くと土地や建物、機械や車両といった点が
イメージされます。

 もちろん、これらの有形固定資産についても、利用頻度の低いもの、
リースやレンタルに移行できるもの等、見直し次第で売却して手許資金を
潤沢にするのも一つだと思いますし、これらの有形固定資産を売却・処分
することで、固定資産税や償却資産税といった税金も削減できますので、
将来にわたっての固定費削減策とも位置づけられる点がメリットと言えます。

 次に、無形固定資産についてですが、この分野の勘定科目は、
主に権利関係の費用が多いので(電話加入権、施設利用権、工業所有権、
営業権、借地権等)売却して資金を捻出する効果は低い場合が多いですが、
ソフトウェア等、売却次第で手許資金が増える可能性のある資産も
ありますので、確認が必要です。

 更に、固定資産の見直しで忘れてはいけないのが、「投資その他の資産」です。
一般的には、投資有価証券、関係会社株式、出資金、差入保証金、長期貸付金、
保険積立金、長期固定性預金、といった勘定科目が挙げられます。
 最近では少なくなりましたが、ゴルフ会員権等もこの分野でよく見かける
勘定科目です。

 この投資その他の資産にある勘定科目については、ビジネスに
どのように貢献している投資かどうか、判断の見極めが必要です。

 保険積立金等については、手許資金が潤沢なケースの場合は契約を
継続しても差し支えありませんが、資金繰りに苦慮している場合は、
保険の解約返戻率を確認した上で、解約・減額・払い済み等の処置をとり、
全額損金タイプの掛け捨て保険に加入する等して、最低限の保障のみを確保して、
手許資金の確保と固定費削減を行うのも一つの方法です。

 長期固定性預金についても、定期預金としてキャッシュを
寝かしておくのではなく、解約後、当座・普通預金に組み入れて
手許資金に加えることもできます。

 投資有価証券、関係会社株式、出資金、差入保証金等の科目については、
出資・投資・保証金として支出していることでの費用対効果、
ビジネスに及ぼす影響を踏まえて、必要最低限に抑えることが大切です。

 このように、固定資産の見直しといっても、有形固定資産、無形固定資産、
投資その他の資産の内容に応じて、見直す分野は多岐に渡ります。

 皆さんの会社では、必要最低限の固定資産のみに資金が使われていますか?
 自社の固定資産の中で、利用価値が低くなったものや利用頻度が
少なくなったものがないか、今一度、検討してみましょう。