vol.72 忙しいから人を入れる??

 お客様と打ち合わせをさせて頂いていると、
「忙しくなったから人を入れたいと思っている」という話になります。
 特に、幹部の方にお話をお聞きすると、よくこの言葉が聞こえてきます。

 私も、前職では幹部職の時期がありましたので、その当時は忙しさを
解消するために、人を採用して欲しいと思うことがありました。

 ですが、よくよく考えてみると、「忙しいから人を入れる」となると、
忙しさを解消するのが目的であり、結果として増員を行って、現場の忙しさが
解消されたからと言って、必ずしも利益が上がるというものではありません。

 財務の視点に立つと、人を採用するという行為は、投資に対する回収計画が
明確に立てられているのが前提で、初めて実行に移されます。

 現場の忙しいという声だけで、増員を実行した場合、当然のことですが、
採用に関するコスト、採用してから一人前に育成するまでのコスト、
そして採用したその従業員の人件費、もちろんその人員を管理するための
コストなど、いろんな経費が発生します。

 また、「忙しい」と思っていることでも、実際に機械設備を刷新したり、
現在の業務のIT化を進めることで、問題が解決することも考えられます。

 それらの経費を投資した上で、それでも人員を増員させることで、明確な
費用対効果が期待できると判断できた段階で、初めて増員という話になる
と思うのです。

 これは、増員に限った話ではなく、設備投資やコストのかかる話等にも
関連するテーマだと思います。

 「新しい機械が欲しい」から買うのではなく、購入することでかかるコスト
に対して、どれだけの投資効果が見込めるのか、また、投資したものがどの
時点で回収できるのか、これらをシミュレーションした上で、実行に移すべき
だと思います。

 要するに、「欲しい」を基準にするのではなく「機能」がいくらのコストで
入手できるのか?ということです。

 みなさんの会社でも、何かの経費を使う時に、その目的を忘れて購入している
ケースはありませんか?

 今一度、財務の視点から物事を捉えた上で、かけるべき経費かどうかの判断を
行ってみましょう。

vol.71 キャッシュストック計算書

 今回は、キャッシュストック計算書についてです。

 聞き慣れない名前かもしれませんが、実はこの計算書が、
中小企業が資金繰りを改善する上で、無くてはならない
計算書なんです。

 というのも、このキャッシュストック計算書は、企業がどのような
経緯を経て手許資金を残しているのか、そしてその資金残高の内訳を、
資金調達と資金運用の観点から分析する計算書だからです。

 ・資金調達=どこからお金を調達してきたのか?
 ・資金運用=調達してきたお金をどのように使っているのか?

 単純に言えば、資金調達-資金運用=資金残高 となるわけですが、
これでは、何が原因で手許資金が増減しているのかわかりませんので、
その内容を確認するのに、全部で4段階の資金に区分します。

(1)損益資金...会社を始めてから今日に至るまでの売上等の収入を
  資金調達、売上原価や販売費及び一般管理費等の固定費を資金運用と
  みなし、損益資金としていくらの資金があるのかを確認します。
   この段階で損益資金がマイナスになっている会社は、そもそも商売と
  して利益が出せていないことになりますので、要注意です。

(2)運転資金...運転資金という言葉を聞いたことがある経営者の方も
  多いと思います。ここでは取引条件で、まだ支払っていない買掛金等の
  債務を資金調達、入金していない売掛金等の債権を資金運用と位置付けて
  その差額を確認します。
   一般的には、売掛金の回収が買掛金の支払いを上回るケースが多いため、
  多くの中小企業では、この項目がマイナスになる場合があります。

 ※(1)損益資金-(2)運転資金=営業資金 と言います。
 (1)損益資金がプラスでも、(2)運転資金の影響で営業資金がマイナスに
 なっている会社は、手許資金を潤沢にする為に、借入や増資を行い、
 資金を調達する必要があります。

(3)投資資金...ここでは、企業が投資を行うにあたって調達した
  長期の資金(長期借入金や資本金)を資金調達として、そして
  実際に設備投資や在庫として抱えた金額を資金運用とみなして評価します。
   一般的には資金調達が資金運用を上回りますので、多くの企業が
  投資資金はプラスになる場合が多いです。
  (キャッシュストック計算書では、運転資金を債権と債務のバランスだけで
  評価するため、在庫については投資とみなしてこの区分で評価します)

 ※営業資金-(3)投資資金=安定資金
  営業資金から投資資金を差し引いた資金を安定資金 と言います。
 この金額が企業の基本的な資金繰りの目安になる資金です。
 ここが手薄な金額だと、日頃の資金繰りが不安定であることを
 意味しますので注意してください。

(4)調整(流動)資金
  最後の調整資金は、短期借入金やその他の流動負債の項目など、
  短期の資金調達と、有価証券やその他の流動資産を資金運用という
  区分で評価します。

 ※安定資金-調整(流動)資金=現預金残高 
  安定資金までの項目でマイナスが大きいのにも関わらず、
 調整資金段階でのプラスが大きい企業は、短期の資金調達で
 資金繰りを回していることになり、資金繰り状況が危険と
 位置づけられますので注意してください。

 このように4つの資金「損益資金」「運転資金」「投資資金」
「調整(流動)資金」という4つのカテゴリーで資金内容を評価して、
どの段階でキャッシュがたまっているのかを把握するのが、
キャッシュストック計算書の役割です。

 例えば、短期借入金が大きく、毎月の資金繰りが切迫している
企業等では、借入内容を短期から長期にシフトすることで安定資金を
確保したり、売掛金の回収と買掛金の支払いのバランスを見直して
営業資金のマイナスを削減したりなど、企業の実態に見合った
財務戦略をとることが可能になります。

 皆さんの会社でもキャッシュフロー計算書で、資金の流れを
把握するだけでなく、キャッシュストック計算書を作成して、
自社の手許資金の状況把握に努めてみてはいかがでしょうか。

vol.70 経理システムの問題解決方法

 皆さんの会社では、経理システムに問題が発生している場合、
どのような方法で解決しておられますか?

 M's FACTORYでは、お客様の会社の経理システムに問題がある場合、
その問題解決に向けて、いくつか経営者にお願いをしています。

1)経営者自身が経理の現状を理解すること

 これが一番やっかいな問題かもしれませんが、経営者の場合、
外部でいろんな情報を聞いてくることが多いので「よその会社は
月次が毎月5日には仕上がっている」「債権が確実に回収される
ビジネスモデルにしている」等と聞くと、他社で実行しているので
当社でもできるはず!とすぐに思い込みをされる方が多いのですが、
これは大きな勘違いが含まれています。

 会社というのは、その業界にもよりますが、会社ごとに個別の
経理の仕組みというものが存在します。
 もちろん、どの企業でも共通の事項もあります。

 ですが、大前提となるのは、経理担当者が行っている業務の全体像を
経営者自身が把握しておくことです。

 その上で、自社の経理システムが他社とどう異なるかを理解するには、
経営者自身が、外部から情報を入手する際、その会社の経理システムが
どのような全体像で成り立っているかをヒアリングすること、そして、
その違いを確認するために、自社の経理担当者の声を聞くことが大切に
なってきます。

2)経営者が見たい情報を経理担当者に伝えておくこと

 経理担当者の性格上、円単位まで合わせた資料を提供したいと
思われる方が多いのもの事実です。ですが、経営者からすると、
100%完璧な資料が時間をかけて出来てくるよりも、95%の
完成度でいいので、早急にデータを見たいと言うのが心情です。

 また、経営者にとっては1万円単位で資料を見たかったり、
細かい勘定科目ごとよりも「人件費」や「営業費」といったくくりで
数字を把握したかったり、といった具合で経営者が見たい資料と、
経理担当者が完成させたい資料のギャップが生まれてくるケースが
よくあります。
 このギャップを是正するには、経営者が見たい情報を明確に
経理担当者に伝えておくことが重要です。

3)原因を追究するためのヒアリングを心がける

 M's FACTORYが経理システムの見直しを行う際は、徹底的に
ヒアリングをさせて頂きます。
 そして、ヒアリングのスタイルは、問い詰めて責任を追及する方法
ではなく、あくまで現状の経理システムがどのような背景で成り立って
いるのか、今後、自社の経理システムをどのように改善していきたいのか?
を明確にしてもらうことです。

 経理業務の多くは、営業担当者から回ってきた売上資料や、
工場担当者から回ってきた製造原価資料などをもとに行う業務も多く、
必然的に他部門との連携が必要となります。また、経理担当者の性格上、
業務内容の変化を嫌う傾向があるのも事実です。

 このように、経理システムの問題を解決するには、他部門との連携状況
や、経理担当者の性格も踏まえて、対応しなければなりません。

 皆さんの会社でも、「月次試算表の完成が遅い!」であったり、
「見たいデータが見られない!」と経営者が思っている場合は、
問題の原因を確認し、お互いが見たい数字を共有できるよう、
経営者と経理担当者が密にコミュニケーションをとるよう、心がけて下さい。

vol.68 預金の入力速度をアップする方法

 M's FACTORYでは、中小企業の財務力アップの一環として、
経理担当者の業務効率アップツールをお客様に提案しています。

 代表的なものをあげると、
・小口現金の廃止(仮払精算制度、クレジットカードの活用)
・インターネットバンキングの活用
・Money Lookの活用

 等々、いくつか事例があげられますが、その中でも、昨年から
注目しているのが、預金の入力をいかに効率化するのか?ということです。

 当然、伝票の仕訳登録等を活用して入力することで、入力業務自体の
効率は図れますが、意外に時間がかかってしまうのが、預金残高の
チェック作業です。

 これは、ベテランの担当者でも、時間を要する部分です。

 特に、入力に不慣れな方の場合だと、残高が合っているかどうかが
不安になって、逐一残高を確認しながら入力することになるため、
結果として多くの時間を入力業務に割いてしまうことになります。

 では、どのようにしてこの残高チェック作業を効率化するのか?

 答えは、インターネットバンキングの預金取引データを自動化してしまう
「早業バンク」の導入です。

 特に、定型的(毎月、数か月に一度など)に発生する仕訳については、
一度登録してしまえば、2度目以降は自動化可能となります。
(例:リース料、地代家賃、水道光熱費、買掛金の支払、売掛金の入金など)

 これだけでも、凄いのですが、定型的に発生しない仕訳についても、
いったん「諸口/預金」「預金/諸口」といった仕訳を登録することで、
弥生会計で仕訳処理されます。

 この段階で、預金残高は確定されますので、預金の残高チェック作業は
不要となります。

 また、その上で諸口の科目に残っているものを仕訳日記帳か総勘定元帳で
検索して、その後は科目変更、もしくは振替伝票に変換して諸口の部分を
正式な勘定科目に変更するだけでOKです。

 私自身も、当初は定型的な仕訳部分以外は、あまり効力を発揮しないのでは?
とも思っていましたが、新規に発生する臨時的な取引についても、上記のような
処理を施すことで、預金残高のチェックが不要ですので、ソフト導入の効果が
非常に高いことが確認できました。

 実際に、これまで預金入力で困っておられたお客様も大幅に入力業務の
時間が短縮できたため、大変喜んで頂いています。

 皆さんの会社でも、会計ソフトだけでなく、「早業バンク」のような
入力効率を飛躍的にアップさせるソフトの導入も検討してみてはいかがでしょうか。

早業バンク

vol.62 同じことを同じようにしない

 私自身の、仕事のコンセプトの一つが、今日のタイトルにある
「同じことを同じようにしない」です。

 これは、例えば、社内研修であれば同じ研修を毎年同じ人が、
新たに入ってきたスタッフに、その都度個別に行うのではなく、
実施した研修は、ビデオ撮影する等して、
次年度以降は新入社員にビデオを見るように指示しておくというものです。

 最近では、ipodや携帯電話でもこれらの動画が見られるようになっているので、
出勤途中や休日などの宿題で見てもらうのも一つだと思います。

 また、経理の合理化に関するアドバイスを行う際も、同じことを同じように
処理するのではなく、前回よりも速くできる方法、前回よりも安くできる方法、
前回よりも見やすくできる方法をコンセプトに指導させて頂いています。

 経理処理の場合、それを処理するスタッフが同じ処理を継続するということは、
企業にとってはマイナスといっても差し支えありません。

 言いかえると、人件費が上昇していくのに対して、仕事の成果は一緒だとすると、
企業経営からすると意味のない結果となってしまうからです。

 特に、経理処理というのは、経理担当者の聖域になりかねない
業務範囲ですので、改善するということそのもの自体への抵抗もあります。

 ちなみに経理合理化の指導をさせて頂く際の私のポイントは、
「単純化すること」「ITを活用すること」「人の手に委ねないこと」の3点です。

(1)単純化する
 経理処理の大半は、単純作業の連続です。独自の判断を要するケースは、
全体の1割~2割程度ですので、まずは単純化できる部分を徹底的に
単純化します。

(2)ITを活用する
 多くの中小企業では、手書きで伝票を作成することにたくさんの時間を
費やしている経理処理を目にします。
 ですが、手書きで書くことが大事なのではなく、いかにその処理を速く
仕上げるか?が目的ですので、効率的に仕事を進めるにあたっては、
ITを徹底活用します。

(3)人の手に委ねないこと
 経営者が最も恐れているのは、経理担当者が辞めることです。なぜなら、
営業や商品開発等の分野については、ある程度対応できるものの、
経理の後任となると、経営者自身が経理畑を歩んでいない場合が多いことから、
どのように対応してよいのかがわからないからです。
 会社によっては、経理担当者に辞められてはいけないと経理担当者には
一切の無理を言わないようにしている経営者もいらっしゃるくらいですから(苦笑)。
ですが、これが一番会社にとってのリスクです。
 企業としては、特定の人に依存するのではなく、常にカバーできる状態、
言いかえれば、誰でもできる状態を作ることが大切です。

 このようなことを書きましたが、もちろん、私が知っている中小企業の
経理担当者でも、上記の3点を実践しておられる方はたくさんいらっしゃいます。

 そして、それらの人たちすべてが、最初は皆さんと一緒に手書きの経理処理を
行い、一人で経理処理方法に悩んでおられた方々ばかりです。

 要するに、やる気があれば誰だって上記の3点は実践できるということです。

 みなさんの会社では、経理担当者の業務はどのような状態に
なっていますか?

 一度、経営者自身が自分の目で確認してみてください。

vol.60 経理を合理化したその先には?

 最近は、「経理を合理化する」ということについて、
いろんな経営者の方からお問い合わせやご相談を頂きます。

 そもそも、経営者にしてみれば、経理というものは
よくわからない仕事です(これは、経理畑出身の経営者が少ないのが
最大の理由ですね)。

 また、経理担当者にしてみても、自分の型を変えるということ
そのものにすごく抵抗感を感じる方が多いのも事実です。

 伝票を手書きし、一生懸命会計ソフトに入力して、
試算表の科目一つ一つの残高を合わせるという行為そのものが経理!
という価値観が根強くあるようです。

 会社によっては、小口現金や営業マンの経費精算をするためだけに、
経理担当者が一か月のうちで大半の時間を割いているというところもあります。
 確かに、これまでの経理はそれが普通・一般的とされてきました。
 ですが、経理本来の目的は「経営管理」にあります。
 経理=経営管理の略称(最初と最後の文字をとって経理)という考え方が
あるほどですからね。

 要するに、経理という業務そのものは、企業経営に役立つ情報を
提供する存在でなければならないということです。
 ですから、試算表を仕上げる業務自体を極力効率化して、
それ以外の業務で、例えば

・会社全体の予算や資金繰り計画を考えたり、
・商品別・部門別・店舗別・個人別に予算管理を実施したり、
・経営者の考えるビジョンと財務計画をマッチングさせたり、
・金融機関の借入の見直しを図ったり、
・会社の変動費・固定費の見直しや削減を検討したり、

などなど、経理部というよりも財務部としての業務に時間を費やしてもらうことが、
本来の経理担当スタッフの役割ではないかと思います。

 そういう仕事は苦手だ!という経理担当者もいらっしゃるかと思いますが、
そのような性格の方でも、余った時間を使って、営業事務などの業務を
フォローしてもらう等、純粋な経理業務以外の部署でも十分に力を
発揮できます。

 よく考えてみてください。経理・数字を理解している人が
営業現場にいるだけで、見積もり金額のチェックや債権回収で
どれだけ力になることでしょうか。

 みなさんの会社でも、経理担当者がどのような業務に時間を
費やしているか把握しておられますか?

 ただ単純に経理システムを合理化するだけでなく、そこで働く経理担当者が
イキイキと働ける環境を整備することも経営者の大事な仕事です。

 経営者自身が、「経理はよくわからない」で済ませてはいけません。
 しっかりと経理担当者、そして経理業務と向き合い、会社として
とるべき改善措置を講じてこそ、企業財務は改善できます。

vol.55 財務体質強化の前提は経理システムの確立  

 これまで、多くの中小企業の財務面のアドバイスを行っていますが、財務体質を強化していくにあたっては、主に以下の内容の改善活動を実施します。

1.決算書(貸借対照表、損益計算書)の問題点分析
2.全社別、部門別、商品別損益分岐点分析
3.キャッシュフロー分析
4.金融機関の借入内容分析
5.予算設定、進捗管理
6.月次財務状況の分析

 これらの内容を分析し、具体的な改善課題を抽出し、具体的な改善活動に結び付けることで、財務改善を目指します。

 ですが、これらの改善ステップを踏むにあたって、やはり必要となるのが経理システムの確立です。

 というのも、勘定科目の整理、補助科目の活用がきちんとなされていない場合や、債権管理や借入・リース契約の管理がなされていない場合など、経理自体が機能していないと、結果として問題や原因の追及も困難になりますし、具体的な改善にも着手しづらくなってしまうからです。

 この「経理システムの確立」、一見難しそうに思いますが、要は、仕組みとルールをいかに作るかにかかっています。

 例えば、勘定科目についても、どのような経費をどのような勘定科目で使うか、そのルールを決めて、経営者と幹部、経理担当者の間で共通認識を持っておくことが重要です。

 また、補助科目についても、予算に活用できるような使い方を心がけることで、勘定科目ごとの傾向が把握しやすくなります。

 このように、勘定科目のルールや補助科目のルールに加えて、経費精算のルール、売上計上・経費計上のルールも明確にするだけで、おおよその経理業務がルーチン化できますし、それらを発展させた部門別・商品別といった管理も可能になるわけです。

 そして忘れてはいけないのが、経理システムの見直しにあたっては経理担当者に負荷をかけないことも、ポイントです。

 管理項目やルールを追加しすぎたために、結果として運用が難しくなってしまったり、経理担当者に極度の負荷がかかってしまっても意味がありませんので。

 というわけで、結論としては「財務改善を行うには、まず土台となる経理システムをしっかり構築すること」が自社の財務体質強化に向けての第一ステップとなります。

 皆さんの会社では、経営に役立つ経理システム、業務効率の高い経理システムになっていますでしょうか?

 今一度、自社の経理システムを見直して、財務改善につなげていきましょう。

vol.44 定型業務と非定型業務

 経理担当者が忙しくしている会社も多いと思います。

 経営者からすると、何とかして経理担当者の負担を減らして効率化できないものか?? と悩んでおられる方もいらっしゃるかもしれません。

 では、どのようにして経理業務を効率化すればよいかと言いますと、答えは、 定型業務と非定型業務というキーワードに行き着きます。

 定型業務とは、経理担当者が日常行っている経理処理方法です。 書類(領収書・納品書・請求書・契約書等)をチェック・保存、伝票の作成、振込・ 入金確認、会計ソフトへの入力、給与計算、社会保険の算定基礎や加入・喪失届、 労働保険の手続きや雇用保険の加入・喪失届、年末調整、などなど、挙げればキリが ありませんが、これら定型的に発生する業務のことを定型業務と位置付けることが できます。

 これらの定型業務をいかにして合理化するか、これが経理担当者の負担を減らす 一つの方法です。

 これに対して非定型業務とは、経理担当者が突発的・臨時的に受託する
仕事です。

 例をあげるとすると、得意先や取引先との電話応対や銀行とのやりとり、社長や 社員から依頼された書類の作成、営業担当者からの入金確認、等々、自分である程度 スケジュールを組んで対応できない仕事のことを意味します。

 中小企業の場合は、経理専任というよりも、総務や財務、労務といった仕事を 担っているケースも多いので、経理担当者は、自分の周りからの緊急の仕事の依頼に 振り回されて、あっという間に時間が過ぎ去ったりしてしまいます。

 このように経理担当者の仕事といっても、定型業務と非定型業務に分けられますので、 まずは自社の経理担当者が抱えている仕事を確認した上で、それぞれに応じた改善策を 講じる必要があります。

 定型業務の改善ポイントは、経理フロー図を作成して、重複している業務や手書き 作業を廃止したり、会計ソフト・表計算ソフトを活用することになります。

 また、非定型業務の改善ポイントとしては、経理担当者に対する社内での指示・ 命令系統の確認、仕事の受発注内容の定型化、といった点になります。

 これを機会に、自社の経理担当者の仕事を見直してみてはいかがでしょうか?
 経理の合理化は、財務改善への土台となります。 

vol.43 『締め日(〆日)』対応法

 どの会社でも締め日というものが存在します。

 会社によっては、請求日の締め日を毎月一回に統一している会社もあれば、得意先に よって、5日、10日、15日、20日...というふうに、変更している会社も多数あります。

 これに対して会社の会計期間ですが、上記の請求の締め日と必ずしも統一していないのが 現実です。

(確かに、得意先によって締め日が変わっていたら、その時点で、会計期間の締め日とは 合いませんよね)

 しかも、同様に仕入や取引業者からの請求書も会社の会計期間と一致していない場合も 数多くありますので、試算表で毎月の結果を見ようとしても、全ての取引先の締め日が、 会社の会計期間に合っていない場合、一ヶ月の正確な経営成績(数字)を見る事は不可能に なります。

 その上、毎月の在庫管理をした数字を計上すると、棚卸は、会計期間に沿って (20日や末日で)計上するので...、こうしてブログを書いている私もわけがわからなく なってしまいます(苦笑)。

 では、どうすればいいのか?

☆経営者は、正確な数字が知りたいんです。

☆経理担当者は、無駄な労力をかけたくないんです。

 答えは簡単!両者の見解を一致させる方法が、実はあるんです。

 それは、会計ソフトに入力する際に、得意先ごとに締め日を2回にわけるんです。

 一つは、得意先の締め日、そしてもう一つは会社の会計期間の締め日、その2つの入力を すればいいというわけです。

 言葉だけではわかりにくいので、例をあげて説明しましょう。

(例)得意先の締め日...毎月20日

   会社の会計期間の締め日...毎月末日

 この場合、1日~20日まで、そして21日~末日までの仕訳を入力しさえすれば いいということになります。

 この処理に対して、経理担当者の中には「めんどくさい」と思われる方がいらっしゃる かもしれません。

 ですが、毎月得意先に請求書を出す際に、一か月分の納品書をチェックしますよね?

 その際に、この2つの期間で集計を出すだけでOKなんです。

 あとは、会計ソフトに入力するだけ!

 それだけで、得意先の売上債権の残高管理もできるし、会計期間ごとの売上推移も チェックできるし、一石二鳥です。

 これは仕入・経費についても同様の事がいえます。

(といっても、あまりにも細かい経費は業者側の締め日のままで構いません。あくまで、 大口の取引先について、売上と同様に2つの締め日を使っていただくだけでいいんです)

 会社によっては、在庫管理に力を入れているものの、なかなか思ったような数字 (粗利益額、粗利益率)が出ない!と悩んでおられるかもしれませんが、原因は在庫 だけではないんです。

 会社の会計期間にあわせて、売上と仕入、経費をきちんと計上して、その上で在庫 管理をきっちりと行えば、数字は正確に出るようになっているんです!

 長くなりましたが、ご覧頂いた皆さん、納得して頂けましたか?

 この方法を実践しておられる会社は、実のところ少ないんです。

 ですが、この方法を採用しさえすれば、経営者の悩みも解決できますし、経理担当者の 業務効率も維持できます。

 単純ですが、優れた方法なんです。

 皆さんの会社でも試算表の中身がどのように構成されているか確認してみて
ください。

vol.40 間接部門の人員は、何人が適正なのか?

 お客様と経理・財務に関する打ち合わせを重ねていると、間接部門である、経理・財務・ 総務部門にどれだけの人員、どれだけの人件費を割くべきなのか?という話になります。

 営業現場や、工事現場、工場の現場などの適正人員については、現場上がりの経営者が 多いので、現場での生産性を上げる点については、経営者の判断が頼りになりますし、 「人員が不足している」「人員が過剰気味」等、現場の従業員数については、経営者や 幹部の方々の目が行き届きます。

 ところが、いざ間接部門となると、どれだけ忙しいものなのか、どれだけ手間がかかる ことなのか?が把握しきれません。

 なおかつ、間接部門に人を入れたからと言って、売上・利益に直結するわけでもない。

 このため、間接部門の適正人員に対する判断を躊躇してしまう経営者が多いと思います。

 会社によっては、「間接部門の人員(人件費)は、直接部門の1割」としておられる会社も ありますが、はたしてそれが全ての会社で適用できることなのでしょうか?

 私は、経理・財務・総務に関する適正人数を決定するにあたっては、必ず、以下の3点の ことを確認するようにしています。

①現状の業務量及び業務フローの確認

 実際の業務内容を確認します。経営者によっては「よくわからないから」 と言って、敬遠される方もいらっしゃいますが、幹部の方や外部の専門家と 一緒にヒアリングして頂くことが、一番の近道だと思います。
 その中で、必要な業務、不要な業務の振り分けを行います。
 実際は、2人でこなしている仕事が、実は1人でも十分こなせる量だったり、 また、その逆の事例も出てくることがありますが、人員の観点から考える だけでなく経理・財務・総務自体の合理化策も検討します。


②経営者が欲しいデータ(資料、情報)は何か?

 次に、経営者が欲しい資料・情報は何か?を確認させて頂きます。
「前月の数字情報を翌月10日までに知らせてほしい」「常に、向こう 1ヶ月間の資金繰りの見通しを教えてほしい」「日々の売上、粗利益情報を 教えてほしい」といったように、経営者が、経営をするにあたって欲しがっている 情報が何かを確認します。
 そして、それに必要な情報・資料を作成するのに必要な業務量・時間を確認します。


③リスクヘッジが考えられているか?

 これは、中小企業に多いのですが、経理担当者を1名だけおいて、その人に 全ての仕事を担当させているケースが、よくあります。
 実際に、業務処理量も小さく、①②に記載した業務をこなしても余裕が あるのであれば、大きな問題ではありませんが、ある程度の業務処理量に なってくると、特定の従業員に経理・財務・総務の全ての業務を任せている ことはリスクです。
 仮に、その従業員が病気・怪我で長期療養したり、勤務形態の変更を希望したり、 急に退職する事態になった場合のことを考えると、会社としては、そういう事態に 陥る前に、前もって予防対策を講じなければなりません。
 また、業務を処理するのは人間ですから、1人に任せるのではなく、複数名で チェックする体制を構築することも必要です。

 このように、①②③を考えた上で、配置された人員が会社としての適正人員と言えます。

もちろん、会社の予算や①②③の優先順位の度合いにもよりますので、一概に特定はできません。

 大切なのは、①②③について、定期的に見直しをする機会を設けるということです。

 みなさんの会社でも、間接部門の業務見直し、人員見直しの機会を定期的に設けてみては いかがでしょうか。