vol.74 見やすい数字

 M's FACTORYでは、財務コンサルティング業務でお手伝いを
させて頂いているお客様の会社の財務情報を、数字でわかりやすく
説明する資料を作成しています。

 財務コンサルティングを実施させて頂くにあたり、
M's FACTORYがこだわっていることは、「経営者や幹部の皆さんに、
会社の健康状態を数字で理解してもらう」ということです。

 健康診断でもそうですが、基準値から悪い数値が出ると、
それを改善しようと努力しますよね。

 まずは、その状態を目指す為に、自分の会社の健康状態が
どうなっているのかを数字でわかりやすく説明するよう
心がけています。

 では、何を持って「見やすい」「理解しやすい」数字と
なるのでしょうか?

 私自身が考える主なポイントは3つあると考えています。

(1)専門用語を使わない
 資料作りで、一番最初にぶつかる壁が、「資料に使われている
言葉の意味がわからない」というものです。

 特に財務に関する分野は、営業畑や研究開発畑を歩んでこられた
経営者や幹部の方にとっては、もっとも敬遠したい分野だと
思いますので、最初の段階でわからない言葉を極力使わないように
しています。

※最低限必要な言葉については、理解して頂くように
説明させてもらっています。

(2)比較しやすい
 健康診断でも同様ですが、人間は体重でも視力でも、
体脂肪率でも、過去との自分、そして目標として掲げている数値と
今の自分、また、同年代の人達と比較した場合の自分の数値を
比較して、自分の現在地を確認します。

 それと同様に、会社の数字を見るにあたっても、
過去の数値、予算の数値、そして同業者との数値の比較を行い、
自分の会社の状態がどうなっているのかを把握しやすく
しています。

(3)視覚に訴える
 (1)(2)にあったように、専門用語を使わず、
比較しやすい資料を作ったとしても見ている本人が、
その数字を実感できないのであれば、意味がありません。
そこで、大事なのが「視覚に訴える」です。

 数字だけを羅列した情報よりも、毎月の数字を線グラフや
棒グラフ等を使って表示してもらう方が、より数字に対する
理解度が増してくるというわけです。

 このように、(1)(2)(3)のポイントを中心に、
M's FACTORYの財務資料は構成されています。おかげさまで、
お客様はもちろんのこと、金融機関の方々にまで高い評価を
頂いています。

 皆様の会社では、どのような財務資料を作成・活用していますか?

 ぜひ、自社の財務力アップにつながるような、 資料作成を目指して下さい。

vol.73 経費の未払計上を行っていますか?

 M's FACTORYが財務コンサルティングを実施する上で、
重視している項目の一つが、「経費を均等化すること」です。

 これは、月によっての経費のばらつきを抑え、経営者や経営幹部の
方々が経営判断を行う際に「毎月の固定費はいくらぐらいかかるのか?」
という数字への感覚をつかんでもらうためです。

 しかしながら経費のばらつきを生んでしまう要因が大きく2つあります。

 以前のメルマガでもお伝えしたように、そのうちの一つが、年払経費です。
たとえば、賞与や保険料、減価償却費、保証協会への保証料、
年会費や保守料金、イベント費用(広告宣伝費)等、といったところです。

 これらの経費については、支払月に一気に経費を計上するのではなく、
支払月までの間で分割計上するか、もしくは12カ月で按分する方法が
オススメです。これにより、経費のばらつきを防ぐことができます。

 そして、ばらつきを発生させるもう一つの要因が「月末に引き落とされる
予定の経費」です。

 これは、社会保険料や借入金利息などのように月末に引き落とし予定と
なっている経費を引き落とし時点で経費計上している場合で、その経費が
暦の関係で翌月月初に引き落としされてしまう時に発生する問題です。

 例えば、12月などは典型的なパターンで、月末に引き落とし予定の
経費の多くは、1月4日以降の平日で引き落としされる仕組みになって
いますので、この場合、12月の経費が少なくなり、その一方で1月に
2カ月分の経費が集中してしまうことになります。

 このようなケースで、経営者が12月の損益状況を見て、
「利益が出ている!」と勘違いしてしまい、1月の損益が出た途端に
「あれ?実は利益が出ていたんじゃ無かったの?」という誤った
経営判断を招きかねません。

 皆さんの会社でも、会計期間の〆日(主に末日)が土日祝日になっている
場合は、要注意です。

 言い換えれば、年払経費と月末に引き落とし予定の経費について、
しっかりと毎月経費計上を行っていれば、経費が大きく変動することは
ありませんし、正しい経費計上のもとで、経営者も正確な経営判断が
可能になります。

 正しい経営判断を行うためにも、経営者と経理担当者がお互いに
経費の計上ルールを確認して、経費のばらつきが生まれないよう、
取り組んで下さい。

vol.71 キャッシュストック計算書

 今回は、キャッシュストック計算書についてです。

 聞き慣れない名前かもしれませんが、実はこの計算書が、
中小企業が資金繰りを改善する上で、無くてはならない
計算書なんです。

 というのも、このキャッシュストック計算書は、企業がどのような
経緯を経て手許資金を残しているのか、そしてその資金残高の内訳を、
資金調達と資金運用の観点から分析する計算書だからです。

 ・資金調達=どこからお金を調達してきたのか?
 ・資金運用=調達してきたお金をどのように使っているのか?

 単純に言えば、資金調達-資金運用=資金残高 となるわけですが、
これでは、何が原因で手許資金が増減しているのかわかりませんので、
その内容を確認するのに、全部で4段階の資金に区分します。

(1)損益資金...会社を始めてから今日に至るまでの売上等の収入を
  資金調達、売上原価や販売費及び一般管理費等の固定費を資金運用と
  みなし、損益資金としていくらの資金があるのかを確認します。
   この段階で損益資金がマイナスになっている会社は、そもそも商売と
  して利益が出せていないことになりますので、要注意です。

(2)運転資金...運転資金という言葉を聞いたことがある経営者の方も
  多いと思います。ここでは取引条件で、まだ支払っていない買掛金等の
  債務を資金調達、入金していない売掛金等の債権を資金運用と位置付けて
  その差額を確認します。
   一般的には、売掛金の回収が買掛金の支払いを上回るケースが多いため、
  多くの中小企業では、この項目がマイナスになる場合があります。

 ※(1)損益資金-(2)運転資金=営業資金 と言います。
 (1)損益資金がプラスでも、(2)運転資金の影響で営業資金がマイナスに
 なっている会社は、手許資金を潤沢にする為に、借入や増資を行い、
 資金を調達する必要があります。

(3)投資資金...ここでは、企業が投資を行うにあたって調達した
  長期の資金(長期借入金や資本金)を資金調達として、そして
  実際に設備投資や在庫として抱えた金額を資金運用とみなして評価します。
   一般的には資金調達が資金運用を上回りますので、多くの企業が
  投資資金はプラスになる場合が多いです。
  (キャッシュストック計算書では、運転資金を債権と債務のバランスだけで
  評価するため、在庫については投資とみなしてこの区分で評価します)

 ※営業資金-(3)投資資金=安定資金
  営業資金から投資資金を差し引いた資金を安定資金 と言います。
 この金額が企業の基本的な資金繰りの目安になる資金です。
 ここが手薄な金額だと、日頃の資金繰りが不安定であることを
 意味しますので注意してください。

(4)調整(流動)資金
  最後の調整資金は、短期借入金やその他の流動負債の項目など、
  短期の資金調達と、有価証券やその他の流動資産を資金運用という
  区分で評価します。

 ※安定資金-調整(流動)資金=現預金残高 
  安定資金までの項目でマイナスが大きいのにも関わらず、
 調整資金段階でのプラスが大きい企業は、短期の資金調達で
 資金繰りを回していることになり、資金繰り状況が危険と
 位置づけられますので注意してください。

 このように4つの資金「損益資金」「運転資金」「投資資金」
「調整(流動)資金」という4つのカテゴリーで資金内容を評価して、
どの段階でキャッシュがたまっているのかを把握するのが、
キャッシュストック計算書の役割です。

 例えば、短期借入金が大きく、毎月の資金繰りが切迫している
企業等では、借入内容を短期から長期にシフトすることで安定資金を
確保したり、売掛金の回収と買掛金の支払いのバランスを見直して
営業資金のマイナスを削減したりなど、企業の実態に見合った
財務戦略をとることが可能になります。

 皆さんの会社でもキャッシュフロー計算書で、資金の流れを
把握するだけでなく、キャッシュストック計算書を作成して、
自社の手許資金の状況把握に努めてみてはいかがでしょうか。

vol.69 決算書の数字が、思っていた数字と違う?

 会社によって、決算月は異なりますが、決算処理では各科目の残高を
確定させること、及び消費税区分の確認を行い、決算書が確定したら、
消費税申告書の作成、勘定科目内訳明細書の作成、そして法人税・
地方税の申告書の作成と処理していきます。

 この決算処理を終えた段階で、経営者がよく口にするのが、
「思っていた利益と全然違っていた」「税金の金額がギリギリに
ならないとわからない」という回答です。

 これは、「月次決算」に対する会計事務所の考え方と、
経営者側の考え方の相違によって生まれてくるものです。

 経営者としては、決算の12分の1の結果を反映したデータが
月次試算表であって欲しいと思っているにもかかわらず、現状では、
この気持ちに沿った会計処理がなされていないことが多々あります。

 では、実際に経営者の思いとデータとのズレを解消するには、
どのような処理を加えたらいいのでしょうか?

 それには、主に3点の処理が必要になります。

1.売上・仕入の帳端期間を正確に計上する

 中小企業のうち、多くの会社が末日を決算日にしています。
(中には、15日や20日での決算をしている会社もありますが、
ここでは末日での決算を前提にお話を進めます)

 この場合、会計期間自体も、決算日の〆日に応じて、毎月末日に
なるわけですが、これと、得意先の売上の〆日、及び仕入先の仕入の
〆日が同じく末日になっていないケースが出てきます。

 この場合、毎月〆日単位でまとめて売上計上を行っているとすると、
末日〆の会社は、毎月1日~末日の1ケ月分の売上計上を行っている
一方で、20日〆の会社は前月の21日~今月の20日の1ケ月分を
売上として計上してしまっているわけです。

 言い換えると、当月の売上を見たいのに、そこには
前月の21日~末日の売上が入ってしまい、逆に当月の21日~末日の
売上が未計上となってしまっています。

 仕入も同様ですね。

 このような帳端期間(帳簿の端数期間の略称です)を無くして、
1日~末日までの売上・仕入の数字を正確に計上することが
重要になってきます。

2.在庫の取り扱い

 売上・仕入が正確に計上できるようになると、次は売上総利益を
正確に把握できるようにならないといけません。
そのための対策が、在庫の取り扱いです。

 会社によっては決算時のみしか、在庫計上を行わない会社もあります。
しかしながら、毎月の売上総利益額、及び売上総利益率を正確に
把握しようと思ったり、また過年度との比較、そして当期の年間推移の
売上総利益データをチェックしようとするのであれば、
極力毎月の数字を正しく把握することが重要になります。

 このため、毎月の在庫の数字を月次試算表に反映すれば、
会社の実態の売上総利益額、及び売上総利益率が確認できる
というわけです。

3.年に1~2度しか計上しない経費を月割で計上する

 売上・仕入・売上総利益が正確に計上されるようになると、
あとは販売費及び一般管理費、営業外損益、特別損益において、
どれだけ毎月の経費が平準化されるかが重要となります。
ここでは、主だった経費を列挙して、説明します。

(1)減価償却費

 減価償却費については、期首段階で保有している固定資産の
当期の償却金額が確認できますので、その金額については、毎月、
年間分の12分の1ずつ経費計上していくことで、経費の平準化が
図れます。
※国外との取引が活発で、外貨を決済資金として使用している会社では、
為替差損益を毎月計上することも重要です。また、貸倒引当金なども、
毎月繰入れる金額と、戻入れる金額を概算で計上しておくことで、
正確な利益金額が把握しやすくなります。

(2)賞与
(3)保険料
(4)広告宣伝費
(5)採用教育研修費 など

 賞与については、1年間に1~3度程度で支給されると思いますが、
その予定金額に合わせて概算で仕訳計上を行い、支給月のみ、
経費が突出して発生しないように月割計上を行います。

 また、半年単位や年に一度払う保険料や、特定時期に突出した
経費が発生する広告宣伝費や採用教育研修費等についても、
同様に1年間で按分して経費計上を行います。

 これにより、毎月の経費の平準化が図れますので、
経営者としても決算時の数字予測の見込みが立てやすくなるわけです。

 このように、決算時に発生する仕訳を、極力、月次試算表データに
反映することで、毎月の数字の合計(12ヶ月分)に近い金額が、
決算データとして反映できるようになります。
言い換えれば、決算予測がしやすくなるということです。

 皆さんの会社でも、このような数字のギャップに
悩んでおられることはありませんか?

 今一度、自社の経理状況を点検して、正確な数字で自社の財務状況を
把握できるように取り組んで下さい。

vol.42 正確な利益を知っていますか?

 みなさんの会社は、どのようにして毎月の利益を把握しておられるでしょうか?

 先月は黒字だった!赤字だった!というだけの経営者もいれば、先月は○○万円の 黒字だった!●●万円の赤字だった!という具体的な数字で利益を捉えている経営者も いらっしゃると思います。

 では、実際に経営者自身が把握している毎月の利益金額は果たして、正しいもの なのでしょうか?

 正確な利益を出すには、以下の3つの項目を満たしていることが必要です。


①売上・売上原価を〆日通り計上しているかどうか?

 決算の時に、経理担当者が行う仕事なのですが、「帳端」(帳簿の端数)の数字を拾う という作業があります。

 これは、例えば3月31日決算の会社の場合、毎月10日や20日で売上を締めている 得意先が存在している場合、10日〆の得意先では11日から31日まで、また、 20日〆の得意先は21日から31日までの売上を拾い出して、売上に加えるという 処理を行う作業のことです。

 要するに、毎月の売上を正確に計上するとなると、この帳端の数字が的確に計上されて いるかどうかが判断基準となります。

 ※この場合、得意先ごとに帳端を入力するよりも、〆日のグループごと(10日〆の グループ合計、20日〆のグループ合計)で入力して管理すると効率的です。

 そして、これは売上に限った話ではありません。

 売上に対応する売上原価についても同様です。売上計上に伴って発生している原価に ついても、同様に帳端を計上することで、はじめてその月の正確な売上総利益が算出 されます。


②経費は発生基準で計上しているか?

 上記の①については、結構処理がなされている会社が多いと思います。  では、経費についてはどうでしょうか?

 例えば、クレジットカードを利用した経費であれば、カードの引落日に経費計上して いる会社も多いと思います。

 ですが、正確な利益を知ろうと思うのであれば、経費は発生した月に計上すべきです。

 また、経費の請求書が送られてきているにも関わらず、支払った時に経費計上して しまうと、同様に「経費が発生する月」と「経費を支払った月」が異なる場合に、 結果として利益金額にズレを生じてしまうことになります。

 経費は支払った時ではなく、経費が発生した月で計上することが必要です。


③年払いの経費や、年に一度発生する経費は月割りして計上しているか?

 ①②を満たしているのであれば、次は「経費の月割計上」に注目する必要が
あります。

 これは、減価償却、繰延資産償却、保証協会保証料の償却、貸倒引当金の繰入計上、 といったように決算時に一括で計上することの多い経費を、予め1か月ごとに経費を 割り振って計上していくというものです。

 また、賞与の支給や、年に一度行われる社員旅行、年払いの保険料といった多額の 経費支出を一度に行う経費についても同様です。

 このように、経費の月割計上を行うことで、毎月の経費予測がやりやすくなります。

 皆さんの会社では、毎月の利益をどのような基準で出しておられますか?
 ①②③いずれの処理も行っている会社であれば、本当に正確な利益を出していると いえます。

 逆に、①②③のいずれかを未実施の会社は、正確ではない利益を、毎月見て、経営判断 を行っていることになります。

 正確な利益からは、正確な経営判断が可能になります。
 正確ではない利益からは、誤った経営判断を行ってしまいかねません。

 今一度、自社の経理システムを見直して、正確な売上、売上原価、経費、利益を 把握できる状態を目指しましょう。

vol.41 ゼロベース予算の考え方

 予算設定の方法に、ゼロベース予算という方法があります。

 これは、主流となっている予算設定方法が前年度の内容をもとに作成しているのに対して、 ゼロベース予算では、文字通り、前年度の内容に一切とらわれず、ゼロから新しい予算を 作っていくというものです。

 当然、一つ一つの勘定科目における予算を確認していくわけですから、労力を要しますが、 企業にとっては大切なことです。

 このゼロベース予算は、何も固定費を削るためだけのものではありません。

 本当にかけるべき経費は何なのか?削るべき経費は含まれていないのか?といった点を 検証するために必要な考え方だと思います。

 大切なのは、経費の使い方に対して「なぜ、その経費を使うのか?」という疑問を 持つことです。

 経費というのは、売上・利益を上げる為の方法です。もちろん、福利厚生などの違った 一面も兼ね備えてはいますが、一番の目的は売上・利益につなげることです。

 目的のない経費の支出や、費用対効果のない経費の支払にについては、過去の慣例に とらわれない事(固定観念を捨てること)が大切です。

 ちなみに、このゼロベース予算の考え方は、経営計画を考えたり、会社組織の見直しを する際にも有効ではないかと思います。

 人間は不思議なもので、物事や環境、人間関係に慣れを生じてしまいます。

 慣れてくると、緊張感が失われ、業務が非効率になったり、場合によってはミスを してしまいかねません。

 そのような時に、経営者自身が、過去からの慣例で物事を判断するのではなく、これから 将来実現しようとしているビジョンに向けて、必要な組織、必要な経費、必要な設備は 何なのかを考えて、経営判断を下す事が大切だと思います。

 というのも、経営者自身が過去の慣例に捕らわれていると、従業員もそれを見て いますので、どんどん悪い方向に組織が動いていってしまうのです。

 そう!原因は自分自身にあるわけです。

 当社でも、ここ数ヶ月で、どんどんいろんな見直しを行なっています。

 おかげさまで、固定観念を捨て、考え方を変えることで、社内に存在していた無駄や 不要な経費を削減することができています。

 と同時に、かけるべき経費にはどんどん予算を割り当てられる環境になりつつあるとも 実感しています。

 もちろん、全てにおいて愛情を持って物事を見極めることも大切です。

 単純にコストカッターになるだけでは、長期的に見て、良い効果は出ないと
思います。

 みなさんの会社でも、悪しき固定観念が蔓延っていませんか?

 会社の財務を通じて、時代に合った組織作り、経費のかけ方に取り組んでみて
下さい。

vol.38 顧客別利益による管理方法

 会社の中には、顧客別の管理として、顧客別の売上、商品原価、売上総利益(粗利益) までは、管理しておられる会社も多いことと思います。

 ですが、顧客と取引するのにかかる費用は、何も商品原価だけではありません。

 顧客にかかっている経費を列挙していくと、その顧客との取引を継続するにあたって、 かかっている経費を算出することができます。

 すなわち、顧客ごとの利益が算出できるというわけです。

 実際に売上ごとに区分していくと、売上シェアの高い会社が、顧客別の経費を含めた 利益で比較してみると、意外とシェアが小さくなっているケースもよく出てきます。

 大切なのは、売上ではなく、利益です。

 また、この話は既存顧客に関してだけの話ではありません。

 新規顧客についても同様の考え方が必要で、売上から商品原価だけでなく取引にかかった 経費を差し引いた利益で確認することが重要です。

 そして、さらに重要なのが、新規顧客を獲得するのにかかった経費をどの段階で回収 するのか、という問題です。

 よく、新規顧客を獲得するために、足しげく通いつめて、接待交際費を多額に投資する ケースを聞きますが、それについても「投資した金額をどこで回収するか?」が大事に なります。

 皆さんの会社では、お客様ごとの利益管理をしておられますか?

 大切なのは売上ではなく、利益であるということ、そして新規顧客については顧客との 契約に際して先行投資した費用をどの段階で回収するのかを前提に、営業活動を管理して みて下さい。

 数字面で大切なのは、「売上ではなく利益」です。

vol.36 経費の振り分け方法

 複数の店舗や支店、営業所、部門、商品などで会社を運営しておられる方々の場合、 これらの部門別管理を行うことが重要になってきます。

 一般的には、各部門に所属する経費は部門経費として差し引き、各部門の売上から それらの諸経費を差し引いた金額を、貢献利益として認識します。

 そして、部門経費に該当せず、全社で負担する経費を共通経費として認識して 各部門に配賦して部門ごとの経常利益を出す、というパターンが主流となっています。

 ただし、この問題点は、共通経費の配賦ルールです。

 単純に人数割する方法もありますが、一概に人数割が適正とも言い切れません。

 部門によって抱える人材のレベルに違いがあったり、全社の戦略上、やむを得ず 多くの人員を配置しなければならなかったりした場合、共通経費配賦後の経常利益で 部門評価を行うと、誤った経営判断をしかねません。

 貢献利益までの部門経費を「管理可能費」、共通経費のことを「管理不能費」とも 呼びますが、部門で管理できるかどうかが、現場にとっては重要な基準となります。

 この問題については、「これが正解!」ということはありませんが、人事面での評価を 行う場合は、管理可能費までの範囲で評価してあげることが重要です。

 また、財務面で賞与原資等を決定する場合は、全社の利益(管理不能費を差し引いた後の 利益)を基準として賞与原資を決定し、その上で、貢献利益までの段階に基づいて 評価してあげることが望ましいといえます。

 皆さんの会社では、どのような部門管理方法を用いておられますか?

 社内ルールを明確にするのはもちろんのこと、従業員も納得のいく評価制度と 連動した経費の振り分けを考えましょう。

vol.31 貢献利益

 皆さんの会社では、「貢献利益」という考え方を活用しておられますか?

 実は、この貢献利益という考え方、社内での目標数値の管理において、有効に活用 できる方法として重宝されている利益なんです。

 貢献利益は、売上総利益から管理可能な経費を差し引いて求めます。

 では、「管理可能な経費」とはどのような経費なのでしょうか?

 それは、特定の部門ないし特定の個人を指定できる経費のことです。

 例えば、旅費交通費等のように、営業マン一人一人にかかる経費は把握できますので、 管理可能な経費に分類されます。

 更には、携帯電話を営業マンに貸与していたり、得意先との接待交際費も予算を 与えられている中で使える状況にあれば、誰がどのような経費として使ったのかは 一目瞭然です。このような経費を、管理可能な経費と言います。

 また、部門別で貢献利益を管理している場合は、その部門が賃貸している事務所の家賃、 機械や車等のリース費用といった経費も管理可能な経費に分類されます。

 要するに、部門や個人を特定できる経費=管理可能な経費と位置づけられるわけです。

 これに対して、「管理不能な経費」とは、特定の部門や個人ではコントロールする ことのできない経費を指します。その最たる例が役員報酬や間接部門の人件費です。

 これは、営業部門がいくら努力したところで、直接的に管理できない経費が対象と なります。

 このように、貢献利益の考え方を導入することで、自社でどのような部門、どのような 社員が実際に会社の利益に貢献してくれているのかが把握できるようになるわけです。

(例)営業マンA 売上200万、売上原価100万、管理可能な経費50万

  営業マンB 売上100万、売上原価 45万、管理可能な経費 2万

 このような営業マンが2人いた場合、どちらの営業マンが貢献社員と呼ぶにふさわしい と思いますか?

 営業マンAの場合、売上はBの2倍となっていますが、売上総利益率がBの55%に 劣って50%、管理可能な経費を差し引くと、貢献利益は50万円となり、Bの53万円 を下回ってしまいます。

 確かに、この数字を見ただけで全ては判断できませんが、貢献利益の観点から考えると Bの社員が会社への貢献度が高いと位置づけることができるわけです。

 会社によっては、このように特定の部門、特定の個人で利益を出すのは良くない! と考えておられる経営者もいらっしゃると思いますが(当然、それも経営スタイルの 一つだと思います)、一方では、この貢献利益を一つの判断材料として、試算表作成 の際に作成しておくことも重要な指標と位置づけられると思います。

 また、現場の社員にとっても、自分にとって数値目標を設定する際は、見える経費の 削減目標を立てる方が、目標が立てやすく、達成した場合の実感も得られやすいこと、 また社員に利益意識を浸透させる上でも重要な要素と言えます。

 導入方法は、今使っておられる会計ソフトでも取り入れる事は可能ですし、別途、 エクセル等を使って資料を作成することもできます。

 これを機会に、みなさんの会社でも「貢献利益」の考え方を導入してみてはいかが でしょうか。

vol.11 自社に役立つ会計情報

 日頃、皆さんが目にされる試算表や決算書は、『財務会計』という考え方に基づいて作成されています。

 この、財務会計とは、外部の利害関係者(株主、投資家、銀行、リース会社、取引先など)に対して、会社の財務状況を的確に伝える制度のことです。

 当然、外部の利害関係者も、他の会社や、その会社の過去の試算表・決算書との比較を行ないますので、客観的に同一のルールで資料を作成する事が義務付けられています。「法律で決まった資料」といったところでしょうか。

 ですが、中小企業の経営者からすると、非常に見づらいという一面を持っているのも事実です。

 実際には、多くの中小企業経営者が、試算表や決算書の内容を完全には理解できていないのではないでしょうか。

 自分で理解できない資料をもとに、その資料から問題点を探り出して、解決策を考えろ!と言われても、到底無理な話です。

 では、どのようにすればいいのでしょうか?
 そのヒントは『管理会計』に隠されています。

 この管理会計は、財務会計と対照的に「自社の経営に役立つ会計情報を経営者・幹部に提供すること」といわれるものです。

 管理会計にも、原価計算や予算管理といった数多くの計算手法がありますが、これも管理会計の分野において、ほんの一例にしか過ぎません。
 なぜなら目的は、あくまで「経営に役立つ会計情報を提供すること」にあるからです。

 例えば、勘定科目が見づらい(見てもあまり理解できない)という経営者の場合であれば、「旅費交通費」という勘定科目よりも「ガソリン代」「電車代」「タクシー代」「出張旅費」といった科目を使って、どれぐらいの経費がかかっているかをわかりやすくするのも一つの方法です。

 また、店舗別や部門別・個人別の資料が見たいのであれば、個人別の売上・経費一覧表を作成するのもいいでしょう。

 このように、管理会計は財務会計と異なり、非常に幅の広い分野の会計ということができます。

 皆さんの会社でも、試算表や決算書とにらめっこをしているだけでは、なかなか会社の収益状況や財務状況を理解することは難しいと思います。

 これを機会に、自社の経営状況を把握できる資料作りに取り組んでみて下さい。